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2016年08月04日23:21

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楽しいレトロプロブレム(38)

(69)Gianni Donati, Olli Heimo & Joose Norri
(StrateGems 50 04-06/2010, 3rd Prize)
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Proof Game in 23.0 moves(13+13)

 まずは手数計算をしてみよう。白は盤面配置で14手、対する黒は5手であり、無くなった駒は白がQRRで黒がQBBの各3枚。黒Pd5はf7にいたものなので、f6のポーンもg筋のものであり、これらのPで黒側の駒取りは尽くされている。又、白のPe4は一見f筋から来たように見えるが、もしそうだとするとPf5はBe6との干渉を避ける為に3手かけて動くことになり、白の手数が足りなくなる。よってPe4は2度駒取りをしており、Pf5は駒取りをせずに直進したことが分かる。このことから、白はRa1/Q/Rh1をそれぞれ3手ずつかけてf6/e6/d5に捨てたことになり、これで白の手はちょうど23手になった。
 ところで、白Pe4が駒取りをした場所はいずれも白枡なので、このことからPa7は大きく展開してきたBf8をa7で取ったことになる。(こういうことが分かるのがチェス盤の良いところである)その後でBc8をf3に捨て、更に黒Qをe4に放り込んだのであろう。

 以上の考察を経て実際に序を考えてみると、妙なことに気付く。というのは、黒の手がa5くらいしか見当たらないのだ。白の方は殆ど確定しているので、とりあえず黒の手が不明なところをパスして進めると、以下の局面に到達する。

(失敗図)
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9.5手目の局面

 この後白にはBh3しか指す手がないが、これでは黒Qをe4に捨てるのが間に合わない。しかし実は、注意深く観察すれば、ここに作者の構想が現れているのに気付く筈。つまり、序盤のうちにRa8を移動しておけば、Qをa8-e4と捨てることができるという訳だ!勿論、このRは出てきたルートをそのまま逆に戻ることはできず、随分と遠回りをして元の位置に戻ることになる。作意順は以下の通り。

1.a4 a5 2.Ra3 Ra6 3.Rf3 Rg6 4.Rf6 gxf6 5.b4 Bh6 6.b5 Be3 7.f4 Ba7 8.b6 Sa6 9.xa7 b6 10.Kf2 Bb7 11.Ke3 Bf3 12.gxf3 Qa8 13.Bh3 Qe4+ 14.xe4 Sh6 15.Sf3 R6g8 16.Qg1 Rf8 17.Qg4 Sg8 18.Qe6 fxe6 19.Rg1 Kf7 20.Rg5 Ra8 21.Rd5 xd5 22.Be6+ Ke8 23.f5 Sb8

 作者の構想に気付いてからも、最短手数でRをa8に持って行く手段は結構紛れがあり、その部分でも楽しむことができる。

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(71)Olli Heimo(Suomen Tehtavaniekat 1997)
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Proof Game in 18.0 moves (15+15)
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