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2016年07月19日23:18

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楽しいレトロプロブレム(33)

(64)Michel Caillaud(Rex Multiplex 1 01-03/1982)
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#2 b)Ka4→a3

 黒にcastlingの権利があるのかどうか、それが問題である。それを知る為には、与えられた局面から逆算してみる必要がある。

 なくなった駒は白がRRSPの4枚で、黒はQRBSPPPPの8枚。特に白Bc1は初形位置で取られているので、Bh2は成駒である。黒側の駒取りはf,g筋のPによるものが2枚あることが分かっている。すると残された駒取りは1枚のみなので、黒Bg1は成駒ではない。これを解放する為にはPg2-g3と戻す必要があるが、更にその事前準備として白のQd1とKe1も戻しておかねばならない。(すぐ分かるように、白Ra1を戻すのは不可能である。従って、黒の3枚目の駒取りはこの白Rであり、黒Pが取ったのは白のRとSであることも判明した)

 白がKとQを自陣に戻すには最低でも12手かかり(Kに8手、Qに4手かかる)、それからBc4をf1に戻してやっとPg2-g3とすることができる。つまり、白がPg3を戻すには、最短でも16手逆算しなくてはならない。よって、その間の黒の待ち手を作ることが必要であり、その手段は黒Pのuncapture以外ない。するとここから、a)とb)の差は一体何なのかも見えてくる筈だ。即ち、a)とb)の差異は、最後に白Kが黒Pを取った場所から生じているのだ!

 では、まずは黒の待ち手が一手多くなるb)の方を戻してみよう。(現在白番なので、黒から戻すことに注意!)

Retract:1...Ph6xRg5 2.Kb3xPa3 Ph7-h6 3.Kc3xPb3 Pa4-a3 4.Kd3xPc3 Pa5-a4 5.Ke3xPd3 Pa6-a5 6.Qd5-d4 Pb4-b3 7.Qg2-d5 Pb5-b4 8.Kf3-e3 Pb6-b5 9.Qf1-g2 Pd4-d3 10.Bd5-c4 Pc4-c3 11.Kg2-f3 Pc5-c4 12.Qd1-f1 Pc6-c5 13.Kf1-g2 Pc7-c6 14.Bg2-d5 Pd5-d4 15.Ke1-f1 Pd6-d5 16.Bf1-g2 Pd7-d6 17.Pg2-g3 Sg3-h1...
(尚、右上の戻し方は限定されておらず、Ph7xg6-g5という戻し方も可能である)

(図1)
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 これで黒が手に困ることはなくなった。後はd8で白Bh2の成を戻してから黒Bg1をf8へ連れて行けばよい。これ以降の逆算においても、黒のKとRがともに不動であっても矛盾は生じないので、b)では黒はcastling可能である。勿論、a)では1手足りず、castlingは不可能だ。従って、最終的な解答は次のようになる。
a)1.Sc6 --- 2.Qd8# (1.Qd6?? Rh4!)
b)1.Qd6 --- 2.Bb5# (1.Sc6?? 0-0!)

 2解でキーが入れ替わる仕掛けは、単純にして巧妙。流石はCaillaudである。

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(66)Wladimir Lewschinski, Nikita M. Plaksin
(Shakhmaty v SSSR 1984, 1st Prize)
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局面をほぐせ(13+6)
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