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2016年07月14日22:47

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楽しいレトロプロブレム(32)

(63)Reto Aschwanden, Michel Caillaud, Gerd Wilts
(Problemist 03/2004, 1st Prize)
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Proof Game in 18.5 moves(13+11)

 白のなくなった駒はBPPの3枚で、黒はBPPPPの5枚。白Pa7が2枚駒取りをしている以外は、駒取りの形跡は見当たらない。手数計算をしてみると、白の手は19手ぴったり。ということは、白のPe2,Pg2,Bf1はいずれも不動のまま取られていることになる。又、白がd/f筋のPで駒取りをするのは不可能なので、d/f筋の黒Pはいずれもプロモーションしていることが分かる。白の手は極めて制限されており、特に序はほぼ確定している。

1.c4 d5 2.Qb3 Bd7 3.Qh3 Bb5 4.xb5 d4 5.b6 d3 6.xa7 xe2 7.d4 f5 8.Be3 f4 9.Sd2 f3 10.Rc1 xg2 11.f4

(10.5手目の局面)
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 しかし、問題が二つある。一つ目は、a1にいたRがh7に到達する軌跡が限定されているようには到底思えないことだ。(c1-c5-h5-h7でもc1-c6-h6-h7でも可)一体どうすれば、この軌道を定める事が出来るのだろう?
 もう一つの問題はもっと深刻だ。黒Pをf1/g1で成らせると、それが白のcastlingの邪魔をしてしまうのだ。上の局面で、あと黒が5手指した後には白がcastlingしないといけない筈だが、そんな事が果たして可能なのか?
 だが、驚くべき解決策が確かに存在する。

11...exf1=B 12.Sf3 g1=R 13.Rc6 Rg5 14.Rh6 Ba6! 15.Rxh7 Rb5!

(15.0手目の局面)
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 その手段とは、B/Rに成った後で反対側にバッテリーを形成することだ!これによって成駒のf1/g1への利きを消し、その副産物としてRc1の軌跡も限定させることが出来る。全く、巧いことを考えたものだ。
 ここからの展開はすぐに分かるだろう。以下、16.0-0 Rg5+ 17.Kh1 Rg1+ 18.Rxg1 Bf1 19.Sxf1とすれば、出題図に到達できる。

 castlingのお手伝いをしたB/Rはどちらも成った場所に戻って取られ(成駒のswitchback)、構想の痕跡は完全に消し去られて鮮やかな幕切れとなる。Ceriani-Frolkinの最も理想的な表現ではなかろうか。

 尚、複数の成駒をP以外の駒に取らせる作品としては、以下のものも覚えておきたい。

(63-a)Michel Caillaud(Phenix 98, 01/2001 1st Prize)
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Proof Game in 21.5 moves(16+12)

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(65)橋本 哲(Probleemblad 2005)
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Proof Game in 24.0 moves(16+16)
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