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2016年06月27日23:00

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楽しいレトロプロブレム(27)

(58)Julio Sunyer(The Problemist 10/1931)
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現在白番。黒Kに4手以内でチェックをかけよ(14+13)

 詰ますのならともかく、チェックをかけるのにそれほど困難はなさそうなのだが、実際にやってみると話はそれほど簡単ではないことに気付く。すぐ思いつく筋は1.Sc4(2.Sd6+)というものだが、黒に1...0-0!とされると全然届かない(各自御確認下さい)。かといって1.Sf4としてみても、やはり1...0-0とされると以下2.Sd5 Kh8 3.Sf4 Kg8...で逃れ。
 よく考えてみると、Sが次にチェックをかけることができる枡目の色は決まっているのだから、S1枚だけの追撃ではダメなのだ。だが、threatを持ちつつ2枚を色違いの桝に配置するには2手では無理で、どうしても4手かかってしまう。さて、これを解決する鍵はどこにあるのだろうか?

 改めて出題図をよく見てみよう。一見どちらもキャスリング可能であるように見えるが、実はこの局面、キャスリングの権利はどちらか一方にしかないのだ。それを以下で示そう。
 白のなくなった駒はQBの2枚で、黒はQBSの3枚。もし双方共キャスリング可能だとすると、どちらのQとBも不動のまま取られている。よって、白がg3で取った駒はSである。
 さて、ここで着手を調べてみると、白の総手数は奇数手で(R:奇数、S:偶数、P:偶数)、黒は偶数手(R:奇数、S:奇数、P:偶数)。従って、現在黒番となり、条件に矛盾。よって、白がキャスリング可能ならば、黒はキャスリング不可能であることが証明された。

 これより、白は1.0-0!(2.Rxf7!)とすることで黒のキャスリングを封じることができる。黒は1...Pf6(又は1...Rf8)とするのが最善の抵抗だが、今度こそ2.Sc4とすれば、2...Kd8 3.Sc5で、もはや黒に抵抗する手段はない。

 所謂mutually exclusive castlingの問題。レトロになれた人なら、配置から作者の意図が透けて見えるだろうし、黒Sa1の配置にも疑問が残る(1...Sxc2+という抵抗は、ここではむしろ不純物になっている)。それでも時代性を考慮すれば、問題の設定には十分独創性が感じられると言ってもよいのではないだろうか。

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(60)Gerd Wilts(Europe Echecs 376 01/1991, 1st Prize)
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黒Rh8の初手は?(14+12)
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