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2016年06月23日22:31

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楽しいレトロプロブレム(26)

(57)Michel Caillaud(Mat Plus 2007, 1st Prize)
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Proof Game in 18.5 moves(14+15)

 なくなった駒は白がQPの2枚で、黒はP1枚のみ。また、手数計算をすると、黒は盤面配置を作るだけで18手ちょうど(Bc8も2手動いている)。従って、黒Pg7は不動のまま取られていることになる。
 では、この黒Pを取った白駒は何だろうか?Qは序で消えるからあり得ないし、黒桝Bは動けない。Sだとチェックがかかってしまうし、KやPでPg7を取ることは不可能。ということで、案に相違してあっさりとRに決まってしまう。勿論、そのRは今h1にいるものだ。
 ここまで分析できれば、後は手を進めるうちに白がキャスリングしていることや、Bf1が最遠スイッチバックしていることなどが自然に見えてくる筈。

 作意順は、1.e4 Sc6 2.Qg4 Sa5 3.Qe6 dxe6 4.Ba6 Qd3 5.Sh3 Qxc2 6.0-0 Bd7 7.Re1 Rd8 8.Re3 Bc8 9.Rg3 Rd4 10.Rxg7 Rb4 11.Rg3 Bh6 12.Re3 Kf8 13.Re1 Be3 14.Kf1 Sh6 15.Ke2 Rg8 16.Rh1 Rg5 17.Ke1 Rc5 18.Bf1 Sc4 19.Sg1となる。
 ちなみに、手数計算上は白がキャスリングしない順も19手ちょうどなのだが、これだとPg7を取るのが1手遅れてしまう(各自御確認下さい)。

 尚、本作はキャスリングの痕跡が完全に消えていることから、anti-castlingに分類される。私が調べた限りでは、anti-castlingの作品でKとRの間のBSまで戻したのは他にないようだ(余詰作では1作あった)。難易度は低いものの手の流れが実にスムーズで、やはりCaillaudの作品だと感心させられる。


 以下では、castlingをテーマとする作品をいくつか紹介しよう。

(57-a)岡谷阿矢子(Problem Paradise 17, 2000)
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Proof Game in 15.0 moves(14+16)

1.e3 d6 2.Qe2 Be6 3.Qa6 Bc4 4.Bd3 e6 5.Se2 Qh4 6.0-0 Be7 7.f3 Qe1 8.a3 Qxc1 9.Kf2 Qxb1 10.Rh1 Qa2 11.Raf1 Kf8 12.Ke1 Bh4+ 13.Kd1 Bf2 14.Kc1 Bg1 15.Rd1 Qa1#

 白は0-0-0をしているように見えるが、実はしていない(これをpseudo-caslingと呼ぶ)。ではキャスリングをしていないのかというと、それも違う。実は、白は右側でキャスリングをしているのだ!
この難しいテーマを、15.0手という短手数でよくまとめ上げたもの。

(57-b)屋並仁史(Problem Paradise 8, 1998)
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Proof Game in 20.0 moves(15+15)

1.g3 Sa6 2.Bg2 Rb8 3.Bc6 bxc6 4.Sf3 Rb3 5.0-0 Re3 6.dxe3 d5 7.Qd4 Bf5 8.Rd1 e6 9.Rd3 Qg5 10.Qf6 d4 11.Ra3 d3 12.Se5 d2 13.f3 d1=R+ 14.Kf2 Rd4 15.b3 Ra4 16.Bb2 Bb4 17.Bd4 Se7 18.Sc3 Kd8 19.Rh1 Kc8 20.Ke1 Rd8

 楽しいレトロ(49)でも紹介した本作。anti-castlingとpseudo-castlingの組み合わせには他にも作例があるが、いずれも自明成駒がある。

(57-c)Joost de Heer(Messigny, 05/2005)
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Proof Game in 7.0 moves(15+14)

1.h4 f5 2.h5 Kf7 3.h6 Qe8 4.xg7 Sh6 5.g8=S Bg7 6.Sxe7 Rf8 7.Sg8 Kxg8

pseudo-castlingの最短手数での表現。

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(59)Michel Caillaud(Europe Echecs 295, 07/1983)
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Proof Game in 35.5 moves(13+12)
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