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2016年06月05日09:05

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楽しいレトロプロブレム(20)解答編

(53)橋本 哲(Problem Paradise 12, 1999)
フォト
Proof Game in 21.5 moves(13+14)

 なくなった駒は白がQPPの3枚で、黒はQPの2枚。白の駒取りはc3,f3のPによるももので尽きている。また、黒はa6とd6で2枚駒取りをしているので、黒Ph4は駒取りをしておらず(これがg筋から来たものではないことを、各自御確認下さい)、成ったのはg筋の黒Pであることも分かる。
 一見、この黒の成駒をc3かf3に捨てれば、簡単にこの局面が構成できるように思える。しかし実際に手数計算をしてみると、黒は盤面配置を作るのに13手、g筋の黒Pを成って捨てるのに5+2=7手かかり、ここまでで20手。黒Qを捨てるのにも最低2手かかるので、これだと21手に収まらない。さて、どうしたらよいのだろうか?

 Ceriani-Frolkinだとすると巧くいかないということは、成駒が盤上に残っているということだ。そう考え直して出題図をよくよく見ると、どれが成駒なのかじきに見えてくるだろう。そう、それは黒Ra2である。a8の黒Rをa2に運ぶのには4手かかるが、c3(又はf3)に捨てるのには3手しかかからない。これで1手減って、21手ぴったりだ。
 ここまで来れば、作者の構想も見えて来る筈。つまり、h1とa1を結ぶ線上にある白駒は全て一旦移動する必要があるが、白KとBはswitchbackで身をかわし、そして2枚の白Rは黒Rに押し出されるようにして四角い軌道をRundlaufするのだ!

1.a4 Sc6 2.a5 Rb8 3.a6 xa6 4.Ra4 Rb3 5.Rh4 Rc3 6.dxc3 g5 7.Qd6 exd6 8.Be3
Qf6 9.Sd2 Qf3 10.exf3 g4 11.Bd3 g3 12.Se2 xh2 13.Sg3 h5 14.Ke2 Bh6 15.Ra1
h1=R 16.R1a4 Ra1 17.Rh1 Ra2 18.Ra1 Sd4+ 19.Ke1 Sb5 20.Rh4 c5 21.Rh1 h4 22.Bf1

 この「同一の軌道で複数の駒がRundlaufする」というのが新構想。少なくとも私は、この作以外の作例を知らない(Caillaud,やDonatiにもないと思う)。1枚のときと全く同じ意味付けで2枚Rundlaufさせることができるというのは、まさしくコロンブスの卵。作者の代表作の一つだと思う。

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