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2016年05月09日22:52

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「カピタン」研究(29)

 前号に引き続き、カピタン18号も、泰永氏の「幻想詰将棋型録」を読んでいくことにしよう。

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第2章 「ばか詰教室」始まる

「ばか詰教室」第1回は190号[71-11]は、見開き2ページをもらってスタートしました。ここで67号のS・オギノ氏のばか詰提唱の分を転載しています。ルール説明と例題を5題(#1〜#5として前述)それと新題の募集で第1回は終わり。
 第2回(191号)の例題は#6〜#8の3題。そして懸賞問題第1号が出ています[#25]。結果発表によると、解答35通で全員正解とのこと。
 192号では規約の問題が論じられている。玉で王手をしたり、王手を放置したりするのは有効か無効か?将棋には王手は防がねばならないという明確なルールがないらしく困る。ほぼ1年後に、現行のようにこれらは禁手ということで決着がついた。ここに収められる図は、特に断りのない限り現行ルールに従ったものです。
 次の193号に、ばか詰における妙手の性格について哲学的(?)な考察があるので、ちょっと長いですが引用してみます。ばか詰を評する時参考になると思います。


 普通詰棋では攻方は攻撃力を強くしようとし、玉方は防御力を強化するのが自然な指し手です。従って、一見それに反した攻方不成、玉方不成等の着手が妙手として扱われるわけです。ところがバカ詰では、攻方はそのまま同じですが、玉方は防御力を弱める指し手を選ぶことになるので、それに矛盾して見える着手が妙手として扱われるべきでしょう。こんな点から森茂氏の「バカ詰に於いては玉方不成は妙手ではなく成る方が妙手だと思います」という忠告が生まれてくるわけです。
 ところで、これまでのバカ詰からも察せられるように攻方の不成も意外と簡単に表現できます。金成憲雄氏の「バカ詰における不成は普通詰棋のそれに較べあまり妙手感はないと思います…」という感じも、この辺から出ているのでしょう。
 一応前述の一般的な考え方に従って更にいくつかあの玉方の妙手を拾ってみると、玉方は攻方の駒(特に大駒)を取るのが妙手、また攻方に取られる合駒は小駒、攻方に取られない合駒は大駒が妙手、等が挙げられましょう。……中略……
 攻方不成、飛角遠打等を見ると、短手数で表現できるような手筋については普通詰棋よりバカ詰の方が表現能力が豊かなように思います。……後略……


 要するに普通詰棋の感覚でばか詰を批評してはいけないということです。あたりまえのことですが、案外わかってない人が多いみたい。
 上文を続けると、取られる中合は平凡手、移動合より打合が妙手となります。ただ詰棋の感覚がしみついているパラ党としては移動合、不成、中合などに妙手性を感じたくなるのは事実で、そのあたりの理屈と感覚のズレは微妙な問題。
 蛇足ながら、攻方不成が妙手になり得ない理由を愚考してみました。上文5行目に「…バカ詰では攻方はそのまま同じですが…」とありますが、これが違うと思う。つまり後手方が協力してくれることを100%信頼できるわけだから、一見不利な着手が何のサスペンスも生じないわけ。(アタリマエカ!?)

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