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2016年05月01日21:11

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楽しいレトロプロブレム(15)解答編

(43)Michel Caillaud(Problem Paradise 10-12/2002)
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Proof Game in 12.5 moves(14+15)
b)Pg6→g5

 なくなった駒は白がP2枚で、黒はP1枚のみ。又、盤面配置を作るのに白は7手、黒は6手かかります。駒取りが判明しているのは、黒Pg6によるもののみ。では、このPは何を取ったのでしょうか?c筋の白Pがd8で成ってg6に行ったとしても最低7手かかりますから、これでは手数が足りません。ましてやPronkinは絶対に不可能です。となると、g6で取られた白駒はh筋の白Pしかありません。
 それでは、h筋の白Pが取った駒は何だったのでしょう?それはd筋の黒Pがc1で成ったBなのです!黒が成Bをg5に持っていくのに6手かかり、黒の手はこれでぴったり。白はBc1をh6に移動させる必要があり、更に成Bがg5に来る迄は白Ph4の状態ですから、Rはh1-h3-a3-a4と3手かけて移動しなくてはなりません。すると、盤面配置で8手、Bc1のswitchbackで2手、そしてh筋のPが3手動きますから、白の手もこれでちょうどですね。
 a)の作意は 1.h4 d5 2.Rh3 d4 3.Ra3 d3 4.Ra4 xc2 5.d4 e6 6.Bh6 Ba3 7.Kd2 c1=B 8.Kc2 Bg5 9.xg5 Qd6 10.g6 hxg6 11.Bc1 Rh5 12.e3 Rc5+ 13.Bc4となります。

 では、b)はどうでしょう?今度は黒が1手余計に指していることになりますから、a)と同じ筋は成立しません。しかし今度は、c筋の白Pをd8で成ってg5に捨てる順が成立します。これで白は13手ちょうど。対照的に黒には余裕がありそうですが、盤面配置だけで8手かかり、更にQでPh2を取ったり、Kが白Pd7のチェックを避けてswitchbackしたりすると、やはり12手ちょうどになります。よって、b)の作意は 1.c4 e6 2.c5 Qh4 3.c6 Ba3 4.xd7+ Kf8 5.d8=B Qxh2 6.Bg5 Qd6 7.Rh4 h6 8.Ra4 xg5 9.d4 Rh3 10.Kd2 Rc3 11.e3 Rc512.Bc4 Ke8 13.Kc2 となります。

 白黒双方のBによるCeriani-Frolkinが2解で表現されているという、奇跡的なtwin。どちらの解もswitchbackを含んでいるところなど、信じ難い完成度ですね。


(44)Theodor Tauber, Michel Caillaud(The Problemist 1991)
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SH#3 (14+11)
A Posteriori

 なくなった駒は白がQPの2枚で、黒はQRBSSの5枚。黒側の駒取りはf筋とh筋のPによるもので尽きています、これより黒Pa2は直進していることになるので、白Pa3はb筋のものであることが分かります。では、a筋の白Pはどこに行ったのでしょうか?これが成るには駒取りが足りませんので、この白Pは3枚駒取りをしてd5に達していることが分かりますね。すると、あと1枚の駒取りもPc2xd3と確定し、これで白の駒取りも5枚ちょうどになりました。すると、g筋の白Pは駒取りをしていないので、直進してg8で成っている筈です。何に成ったのかは不明ですが、少なくとも黒の最終手はPxh6ではないことが分かります。
 さて、ここで黒のcastlingが可能であると仮定しましょう。すると直前の手は白の着手ですが、更にその1手前の黒の着手が何だったのかを考えてみましょう。すると、それはPe3xf2しかないことが分かりますね。しかし、このまま-1...Pe3xf2と逆算すると、この黒Pが白Pe4とすれ違う為には更に2枚も駒取りをしなくてはいけなくなりillegal。よって、白の直前の手は、-1.Pe2-e4!だったことになります。以上の推論により黒は1.Pd4xe3 e.p.とすることが可能であり、その後は 2.fxg1=B 3.0-0 Rg4#となります。

 A Posterioriというルールを最大限に活かして、ほぼ最短でValladao themeを表現していますね。


(45)橋本 哲(Problemesis 12/2005)
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Proof Game in 16.5 moves(13+14)

 なくなった駒は白がQSPの3枚で、黒はBPの2枚。また、盤面配置を作るには、白が8手(Bf1は最低でも2手動いている)、黒も8手かかります。
 ここでまずは、白Pf3がどちらの筋のものだったのかを考えてみましょう。どちらにせよ白Pがf3で取ったのは黒Bではないので(Bf8は黒桝B)、もしe筋のものだったのなら白の駒取りはe3とf3で起きており、g筋のものだったとすれば駒取りはf3とg3であったことが分かります。また、これよりh筋の黒Pは成っていることも分かります。つまり、白Pがf3で取ったのは、この成駒なのです。黒Pが成ってf3に移動するのには6手かかり、更に黒Bf8も2手動いて取られていますから、これで黒の手数はちょうどですね。ところが、黒は想定される手順中にh筋の白Pを取ることはできませんから(各自御確認下さい)、結局Pf3はg筋のものだったことが分かりました。このことから、黒Pはg1で白Sを取ってSに成ったことも判明します。
 では、実際に手を進めてみましょう。序は1.d4 h5 2.d5 h4 3.Qd4 h3 4.Qf6 exf6 5.a4 Bd6 6.Ra3 Bg3 7.hxg3 h2 8.Rd3 xg1=S迄ほぼ必然ですね。

(図1)
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 この後黒Kはe8-e7-e6-f5-g4-h3-g2と進みますが、g4に来たところでSf3+とし、Pxf3+ Kh3としたい訳です。しかし、その為には白Rh1のh3への利きを遮断する必要があります。白に与えられた猶予は4手。さてどうしますか?
 この局面で、9.Rh7! Ke7 10.d6+ Ke6 11.Bh6!と白Rをh7に一時的に格納するのが妙手です!こうしておけば、予定通りSf3+以下の手順に入ることができます。

(図2)
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 以下の手順は11...Kf5 12.e4+ Kg4 13.Be2+ Sf3+ 14.xf3+ Kh3 15.Bc1+ Kg2 16.Rh1 xd6 17.Bf1+となりますね。

 ということで、「如何にして黒Kにh3を通過させるか?」という謎に対して作者が用意した解答は「白RBのdoubled Switchback」でした。

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