(40)Michel Caillaud (Diagrammes 1979, dadicate to G.Yacoubian)
SH#15 (5+10)
何しろ白は最後に1手しか指せないので、詰め上がりはPb3/Kc4しかありません。しかし、すぐに1-2.Ra8-a3-xb3?とすると、この局面において直前の白の手が存在しません。
そこで、1-6.Ra8-f8-f2-xb2-f2-f8-a8と前もって白Pg2を除去しておきます。こうしておいて先の筋に入れば、今度はRxb3の瞬間もillegalではありません。(直前の白の手としてKg2-h1がある)よって作意は 1-9.Ra8-f8-f2-xb2-f2-f8-a8-a3-xb3-b5 10.Bb4 11-13.Ke7-d6-c5-c4 14.Rc5 15.b5 b3#となります。
序の6手が、Series Helpのルールを活かした明快な伏線工作でした。
(41)Gianni Donati(Probleemblad 01/2000)
Proof Game in 14.5 moves(14+15)
なくなった駒は白がQSの2枚で、黒はP1枚のみ。また、盤面配置を作るのにかかる手数は白が6手、黒が7手です。黒Pは明らかに成っていますから、黒Qd8をh3に捨てておいて成Qを戻すPronkinがすぐに思い浮かびますが、これは手数オーバー。
黒Pは成るだけで5手かかりますから、黒の猶予はあと2手しかありません。従って、この黒Pは2枚駒取りをしてc1でQに成り、e3-h3と動いたことが手数計算のみで分かりました。
さて、問題はここからです。黒PはQとSを取ってc2に来るのですが、このままだとc1=Qがチェックになってしまいます。「白Kを一旦外に逃がしたらいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、実際にやってみると手数が足りないことが分かります。よって、白はチェックを避ける為にd1に遮蔽駒を入れる必要があるのですが、さてそれは何でしょう?
実はそれは、a1にいる白Rなのです!そして、そのことに気付くと同時に、作者の構想も見えてきます。
作意は 1.Sf3 e5 2.Sd4 xd4 3.c3 d3 4.Qc2 xc2 5.d3 Se7 6.Bh6 g5 7.Sa3 Sg6 8.Rd1 c1=Q 9.Rg1 Qe3 10.Ra1 Qh3 11.xh3 Be7 12.Rg4 Rf8 13.Rd4 g4 14.Bc1 Bg5 15.Sb1です。
黒QのCeriani-Frolkinの為の白RBSのSwitchback。特に白Bの最遠移動は気持ちの良い手ですね。
(42)Michel Caillaud(Diagrammes 09-10/1979)
SHC#6(6+7)
出題図において、白Bg4は明らかに成駒。しかし、白Pが白桝で成る為にはf7を通過する必要があるので、現在黒のcastlingはillegalです。ところが、この黒のcastlingを可能にする方法があります。それが、1-3.Pd5-d4-d3xe2という手順です。何故この手順でcastlingが可能になるか、分かりますか?
3手目にPxe2と指した瞬間から、白Bg4は初形でf1にいたものである可能性が生じます。従って、黒のKとRはともに不動だったと仮定してもよいことになりますね。(SHCでは、任意の局面が全て独立したものとして、その合法性を判断するのでした!)
以上より、作意は 1.d4 2.d3 3.xe2 4.0-0 5.Kh8 6.Rg8 Sf7# となります。「初形では不可能だった筈のcastlingが、手を進めると可能になる」という、SHC特有の奇妙な現象が、簡明に表現されていますね。
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