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2016年04月09日21:52

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覆面推理をはじめから(8)

高坂 研(Problem Paradise 68, 2015)
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Type B
合法な局面を構成せよ。必要があれば盤面を回転してもよい。

(簡単の為、以下では基本的に平仮名とカタカナを区別せずに表記することにします)
「い」〜「か」は生駒。また「い」「う」「え」「か」はどれも足すと4枚あるので、大駒ではありません。唯一大駒の可能性があるのは「お」です。では、「お」が大駒だと仮定してみましょう。
 持駒にない文字は「あ」「き」「く」「け」「こ」「さ」「し」の7種です。このうち「あ」「さ」「し」は2枚で、それ以外は1枚ずつ。これらのうち生駒は最大でも2枚しかなく、それ以外は玉か成駒ですね。つまり、少なくとも成駒は4種あることになります。
 もし「お」が大駒だとすると、大駒の成駒はあと1種しかできませんので、3種類は歩〜銀の小駒成駒ということになります。ところが、「い」「う」「え」「か」はどれも足すと4枚あったので、これらは銀。桂、香のうち少なくとも2種を含んでいます。ということは、小駒成駒は最大でも2種類しか作れないことになります。これは矛盾。
 これより「お」も小駒であり、持駒は全て小駒であることが示されました。

 先程の議論から、大駒の成駒は龍馬いずれも盤面にあり、更に飛角も存在することが分かりますね。ということは、1枚ずつの「き」「く」「け」「こ」が大駒に対応することになります。従って、「あ」「さ」「し」のうちいずれかが玉で、残りは小駒成駒ということになりますが、ではこのうちどれが玉なのでしょうか?

a)「あ」が玉の場合

「し」が小駒成駒なので、先手玉に王手がかかっている局面ということになります。しかし、この向きだと後手の直前の手が存在しません(時計回りに90度回転した場合も同様)。
 反時計回りに90度回転した場合は、「イ」≠桂より「イ」と「シ」によって先手玉に不可能両王手がかかっていることになります。(180度回転した場合も同様)
 以上より、「あ」は玉ではあり得ないことが分かりました。

b)「し」が玉の場合

 この場合は、どの向きでも双方の玉に同時に王手がかかっていることになります。勿論これは非合法です。

 これより、残った「さ」が玉であることが判明しました。

 すると、盤の向きがどうであれ、先手は小駒成駒「し」で後手玉に王手をかけていることになります。従って、先手玉には王手がかかっておらず、これより「キ」=角、「ク」=飛、「ケ」=馬、「こ」=龍がすぐに決まります。つまり、先手は龍と小駒成駒で両王手をかけている訳です。
 このような王手をかける可能性としては、時計回りに90度または180度回転して「し」=成銀とするしかありません。しかし、90度回転した場合は「え」=銀としなければならず、これは矛盾(銀が5枚あることになる)。よって180度回転する他ありませんね。つまり、12銀が23に移動して成ったと考えるのです。
 ここまで来れば後はもう簡単です。「お」=銀、「え」=桂、「う」=香、「か」=金、「い」=歩が順に決まっていき、消去法で「あ」=ととなりますね。これでやっと、全配置が確定しました。

(正解図)
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終わりに

 覆面推理について、最初はほぼ自明な例から、最後はかなり論理の積み重ねが必要なものまで解説してきました。如何だったでしょうか?
 私が最後に強調しておきたいこと、それは「覆面推理はロジカルに解ける」ということです。手を読む力は全然要りません。「局面の合法性」という概念を理解し、駒数をちゃんと把握すれば、どんな問題でも大丈夫です。この論考を読んで、覆面推理について興味を持ってくれる人が(そして創作を試みる人が)現れてくれることを祈りつつ、この辺で筆を置きたいと思います。

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