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2016年03月13日15:35

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楽しいレトロプロブレム(09)解答編

(25)Michel Caillaud(Thema Danicum 91 07/1998, New Years TT)
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この局面に至る最短手順を求めよ(14+15)
a)現在黒番の場合
b)現在白番の場合

 なくなった駒は白がBPの2枚で、黒はP1枚のみ。駒取りの痕跡は全く残っていませんが、c筋の白Pはどこで取られたのでしょうか?また、これを取った黒駒は何でしょうか?すぐに思い浮かぶ1.e4 a6 2.Bxa6 Sxa6...のような筋では、この後c筋の白Pを消すのに手数がかかり過ぎて全然ダメ。では、先にこの白Pを取って貰うのはどうでしょう?そう考えると、a)より先にb)の順が浮かぶ筈です。つまり、b)1.c4 Sa6 2.c5 Sxc5 3.e4 a6 4.Bxa6 Sxa6 5.Qc2 Sb8ですね。
 では、a)はどこで白Pを取らせるのでしょう?実は意外なことに、白Pc2は不動のまま取られているのです!つまり、a)の作意は1.e3 a5 2.Bc4 a4 3.Bb3 axb3 4.e4 bxc2 5.Qxc2です。「Pを早く取らせたい」と気がはやる程、この順は盲点になってしまうのではないでしょうか。


(26)Josef Haas(Die Schwalbe 143 10/1993)
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#1(7+5)
b)黒から#1にするには、どこに黒Pを1枚追加すればよいか?

 a)が1.Rg6#なのは言う迄もありません。問題はb)なのですが、まずはa)において現在白番であることを確認しておきましょう。現在白番ということは、直前の着手は黒だった筈。しかし、動いた可能性のある駒は黒Kしかありません。一見、どこに戻しても不可能両王手がかかるように見えますが…。
 もうお分かりですね。そう、en passantです!つまり、1.Kg6xPf6 Pg5xf6 e.p.+ 2.Pf7-f5 Ba2-b1+...と戻すことが可能なので、現在白番であることが確認できます。では、これを否定する為には、どこに黒Pを追加したらよいのでしょうか?
 その答えはc7です!黒Pをc7に追加して上と同じ逆算をしてみると、以下のような局面になりますね。

(図1)
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しかし、この局面はillegalです。何故なら、白Kが敵陣に潜り込むことは不可能ではありませんか!よって現在白番ではないので黒番となり、b)1.Bxe6#が正当化されます。
 個々の仕掛けは目新しくないものの、組み合わせるとまた違った印象を与えますね。本作などは、レトロにおける手筋もの(?)なのかもしれません。


(27)Michel Caillaud(The Problemist 2001-2002)
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Proof Game in 7.75 moves(15+13)
2sols.

 黒の着手は盤面配置だけで8手ですから、通常なら8.0手となる筈ですが、手数表記は7.75手。これは一体どういうことなのでしょう?
 7.75手とは、黒が8手目の着手を半分だけ指しているという意味です。これから連想されるのは何でしょうか?勿論、それはcastlingとen passantですね。後は、それらを含みつつ白Qが5手以内に黒Bと2枚の黒Pを取る筋を探せばよい訳です。
 1解目は、1.e4 Sh6 2.Qg4 Sf5 3.Qxg7 Sh4 4.Qxh7 Bh6 5.Qxh6 f5 6.Qe3 f4 7.d3 xe3 8.Sd2 Ke8-g8(=1/2 0-0)となります。
 そして2解目は、1.d3 Sh6 2.Qd2 Sf5 3.Qh6 Sh4 4.Qxh7 f5 5.Qxg7 f4 6.Qxf8+ Kxf8 7.Sd2 Kg8 8. e4 f4-e3(=1/2 fxe3 e.p.) ですね。

 Joke Problemとは言え、castlingとen passantをこのような形で結び付けて表現してみせる作者のセンスの良さには脱帽です。
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