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2016年02月14日14:16

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楽しいレトロプロブレム(05)解答編

(13)James Soliman(StrateGems 49 01-03/2010)
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Proof Game in 11.5 moves (16+14)

 黒の手はちょうど11手で、1手の余裕もありません。よってPd7,e7はいずれも不動のまま取られています。一方白の手はPによる4手のみ。残り8手で2枚の黒Pを取る為には…?
 勿論、使うのは一番足が長いBです(Qだとチェックがかかる為不可)。後はどちらの黒Pを先に取るべきか考えることになりますが、黒Qがd8にいたままではd7の黒Pは取れませんね。
 よってまずは、Pe7を取り除くことになります。後は実際に駒を動かせば、作意が見えてくるでしょう。
 作意は、1.d4 a5 2.Bg5 Ra6 3.Bxe7 Rf6 4.Ba3 b6 5.b4 Bb7 6.Bc1 Bf3 7.e4 Qc8 8. Bb5 Kd8 9.Bxd7 c6 10.Bh3 Kc7 11.g4 Kb7 12.Bf1となります。単純な意味付けで、嫌味なく2枚のBによるRundlaufを実現していますね。


(14)Gideon Husserl(feenschach 1986)
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合法な局面になるように駒を色分けせよ(4+0)
b)Rg6→g7

 一見、QとRが同色であってもなくても、いずれもせよillegalなチェックがかかっている局面に見えます。しかし、本当にそうでしょうか?よく考えてみると、一つだけ抜け道があります。
 白Pg7がh8にある黒駒を取ってQに成ったのだとすれば、黒Kg8に対してQとRによる両王手をかけることが可能ですね。従って、a)の正解図は以下のようになります。

(solution of a)
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 b)はもうお分かりでしょう。この場合は、白Ph7がh8に直進してQに成ったと考えればよいのです。従って、b)の正解図は以下のようになります。

(solution of b)
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 チェスピースは対称性が極めて強いので、普通に作ると白黒を入れ替えた解が存在してしまいます。解をuniqueにする為に非対称性を導入する仕掛けは幾つかありますが、今回はプロモーションを利用している訳です。
 ちなみに、将棋の駒は上下非対称なものが多いですが、だからといってこの種の問題が作り易いということにはなりません。我こそはと思う方は、一度挑戦してみては如何ですか?


(15)Michel Caillaud(Probleemblad 06/2000)
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Proof Game in 7.0 moves (15+12)
2sols.

 なくなった駒は、白がPのみで黒はQSPPの4枚。また、黒の方は盤面配置だけで最低でも5手指しています。しばらく眺めていると、e筋の白Pが駒取りをしてからプロモーションし、最後にそれが黒に取られたというシナリオが自然に見えてきますね。
 なるべく多く白Pで駒取りしようとすれば、e5-d6-c7-b8というルートが浮かんできます。この場合、Qd6で1手、またSd4がg8にいたものだとすれば3手かかりますから、手数もぴったりです。よって、最初の手順は1.e4 d5 2.e5 Qd6 3.xd6 Sh6 4.xc7 Sf5 5.xb8=Q Sd4 6.Qf4 Be6 7.Qxf7+ Bxf7となりますね。では、これと対になる手順はどういうものでしょう?
 白Pがe6-f7-g8と進んでg8のSを取るのは、途中でチェックがかかるので無理のようです。そうすると、やはりこの黒Sに出てきてもらう必要があります。黒Sd4がb8のものだった場合、黒には2手の猶予がありますから、g8にいた黒Sが取られた場所はd5に確定です。すると、白Pがd5-d6-c7-d8と進む順が浮かんできます。黒Sをd4で取る為に白Pはsingle stepする必要がありますが、d8でSに成ればf7へは1手で行けますので、ちゃんと帳尻が合っています。
 よって、2番目の手順は1.e3 Sf6 2.e4 Sd5 3.xd5 Sc6 4.d6 Sd4 5.xc7 d5 6.xd8=S Be6 7.Sxf7 Bxf7となります。白Pや黒Sの動きに対照性があり、短手数の複数解としてはほぼ理想的な仕上がりと言えるでしょう。流石はCaillaudですね。

 このように、途中で成駒が発生したが、それが手順中に取られてしまっているというテーマをCeriani-Frolkin themeと呼びます。様々なバリエーションがあり、これまたProof Gameでは頻出のテーマです。
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