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2016年02月07日20:12

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楽しいレトロプロブレム(04)解答編

(10)Raymond Smullyan(Manchester Guardian 1957)
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白Kはどこにいるか?(1+3)

 この局面で白Kにもチェックがかかっていると、明らかにillegal。また、黒Kにチェックがかかっていないとすれば、白Kがb3にいなくてはなりませんが、これだと白Kに不可能両王手がかかっていることになります。従って、合法な局面にするには、白Kの開き王手によって黒Kにチェックをかけるしかありません。すると、直前の白の手はKがb3からc3に移動するしかありませんね。しかし、先程と同様に考えると、やはり白Kがb3にいる時点でillegalとなっているのではないでしょうか?
 ところが、これは可能なのです!つまり、黒Pb4が白Pc4をen passant captureすれば、この両王手が合法的にかけられます。そして、白Kはその黒Pを取って黒Kに逆王手をかけたという訳です。
 en passantをテーマとした作を、もう一つご覧に入れましょう。

(10-a)Nenad Petrovic(Problem 21-22 03/1954, 1st/2nd Prize 4th Thematic Tourney)
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最終6手は何か?(6+1)

 作意はRetract: 1.Pd5xe6 e.p.+ Pe7-e5 2.Pd4-d5+ Ke6xPf6 3.Pe5xf6 e.p.+ Pf7-f5というもの。最初はともかく、完全に痕跡を消した2度目のen passantには驚かされますね。

(11)Michel Caillaud(Problemesis 1998, 4th Com.)
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Proof Game in 11.5 moves (16+16)

 手数計算をすると、盤面に配置されている駒だけで白は8手、黒は11手指したことが分かります。白Kは明らかにd5-e6-f7と侵入していますから、黒Bc8の利きを止める駒が必要です。
 しかし黒には1手の余裕もありませんから、白はd7に何か自分の駒を置かねばなりません。白に4手の余裕があることを考慮すれば、それがQかBであることは明らかですね。ここまで考えたら、後は実際に駒を動かしてみた方が早いでしょう。
 作意は1.e4 e5 2.Ke2 Bc5 3.Kd3 d6 4.Kc4 Kd7 5.Qg4+ Kc6 6.Qd7+ Kb6 7.Kd5 f5 8.Ke6 Sc6 9.Kf7 Sd4 10.Qa4 Sb5 11.c4 Bd4 12.Qd1となります。

 白Qによって盤上に描かれた正方形の軌跡(g4-d7-a4-d1)が、実に鮮やかですね。このように、幾何学模様の軌跡を描いて初形位置に戻ることをRundlaufと呼び、これまたProof Gameでは頻出のテーマです。特に、本作のように駒取りなしでのRundlaufはQuiet Geometrical Circuitとも呼ばれているようです。(勿論、駒取りなしだと創作難度がぐっと上がります)

(12)Henri Nouguier(Rex Multiplex 18, 1986)
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×の付いた場所に白KB2P3、黒KP5を配置して、白がen passantで
黒を1手詰にできる局面を構成せよ(6+6)

 en passant captureされる黒Pがg5にあることは明らかです。それを取ってBでチェックをかけるのだから、黒Kf6と白Bh4も必然ですね。更に、en passant captureの合法性を主張する為(即ち、直前の手がPg6-g5ではないことを証明する為)白Kh5も決定。これより白Pf5も決まります。後は簡単な試行錯誤により、他の配置も定まる筈です。正解は以下の図。

(正解図)
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「与えられた条件を満たす局面を構成せよ」という、所謂construction task。将棋では殆ど作例がありません。でも、こういう分野には将棋の新しい可能性が秘められているかもしれませんね。

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