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2016年01月24日13:33

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楽しいレトロプロブレム(02)解答編

(04)Walter Freiherr von Holzhausen(Akademische Schachblätter 1901)
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#1(5+2)

 #1ということなので、普通なら白が1手指せばそれで詰むのですが、いくら探してもそういう手は見つかりません。これで1手詰とは、一体どういうことなのでしょう?
 その謎は、簡単なレトロ解析によって解決します。もし現在白番だったとすれば、その直前に黒の着手があった筈ですが、それは何でしょう?一寸考えてみれば分かる様に、そんな手はありません。ということは、現在白番ではなく黒番だということになります!
 よって作意は、1...Kxc7+Kxa7+/Rxa7 2.xa8=S/b8=S/Rc8#となります。このように「どちらの手番なのか」を問う問題も、レトロではよく見かけるところです。

 同様のテーマを持つ作品を、もう一作紹介しておきましょう。

(04-a)Axel Åkerblom(Svenska Dagbladet, 1925)
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#2(5+2)

もうお分かりだとは思いますが、作意は
1...xe6 2.Sh3 e5 3.Be4#
1...Kxg1 2.Rf6 Kh1 3.Rf1#
1...Pf6 2.Sf3 f5 3.Rh6#
1...Pf5 2.Kf2 Kh2 3.Rh6#
というものです。

(05)Peter Wong(The Problemist Supplement 9/1997)
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Proof Game in 8.0 moves (13+14)
2sols.

 手数計算をしてみると、黒はちょうど8手。従って、白はQでPc7を取ってあげないといけません。(SやBで取りに行くと、時間がかかり過ぎます)この白Qはそのあとb6で黒Qに取られたのでしょう。そうすると白の手は、Qが3手でPが2手の計5手。残り3手はどうやって消費すればよいのでしょうか?
 一見白Kがd1-d2-e1とでも動けば(これをtriangulationと呼びます)良さそうですが、実際にはPc3で黒Bを取ったのは最短でも4手目ですから、これは不可能です。同様の理由から、白Bc1によるtempo moveも出来ません。

 種明かしをすると、奇数手を消費したのは実は取られた白S/Pなのです。如何にも初形位置で不動のまま取られたように見える駒が、実は3手かけて別な位置で取られていたのです!
 ということで、作意順は以下の通り。

(1)1.a4 e5 2.a5 Bb4 3.a6 Bc3 4.dxc3 Sxa6 5.Qd6 Sb4 6.Qxc7 Sa2 7.Qb6 Qxb6 8.f3 Qxg1
(2)1.Sf3 e5 2.Sd4 Bb4 3.Sc6 Bc3 4.dxc3 Sxc6 5.Qd6 Sb4 6.Qxc7 Sxa2 7.Qb6 Qxb6 8.f3 Qg1

 奇数手かけて元に戻る以外にも、tempoの失い方は色々あるものですね。もう一作、同じ作者による似たテーマの作品を紹介しておきましょう。

(05-a)Peter Wong(U.S. Problem Bulletin 1-4/1995)
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Proof Game in 11.5 moves(15+12)

 こちらの作意は、1.e3 g6 2.Ba6 Bg7 3.Se2 Bc3 4. bxc3 Sh6 5.Ba3 0-0 6.Bxe7 Sxa6 7.Sa3 Sc5 8.Rb1 Se4 9.Rxb7 Sg3 10.Qb1 Sf1 11.Sg3 Qe8 12.Sxf1です。この作品では、黒Sb8が奇数手消費する為にf1まで移動します。「取られる駒を利用してtempoを失う」という発想が(05)と共通していますね。

(06)Joseph C. J. Wainwright(American Chess Bulletin 04/1912)
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#3(7+2)

 この作品は、castlingの可否を巡る問題です。例えば1.Bb3 Kb1 2.0-0??とすれば#2で詰んでいるように見えますが、これは本当に成立するのでしょうか?
 いいえ、この白のcastlingはillegalです。何故なら、白の3枚のPが不動である以上、白Kも不動ならば黒Kがc1に侵入するのは不可能だからです。
 ということで、作意は1.Bb3 Kb1 2.Kd1 Ka1 3.Kc2#ということになります。シンプルな配置で白のcastlingの不可能性を簡潔に示した本作、レトロ解析における古典の一つと言ってよいでしょう。

 不思議なのは、Databaseでも、Rex MultiplexでのCaillaudによるコラムでも、tryが上の#2ではなく1.b4+? Kb1 2.Bb3 Ka1 3.0-0?となっていること。どういうことなんでしょうか?

 同様のテーマの作品をもう1作引用しておきましょう。

(06-a)Leonid Borodatov(Krimskaja Pravda, 1970)
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黒の最終手は?(6+1)

 一見、最終手は1.Kg1-h2?のように見えますが、それだと1...0-0-0と戻すしかありません。ところが、このcaslingはillegal!(理由はお分かりですね)よって作意は1.Kg1xSh2となります。これなら、1...Sf1xPh2+ 2.Ph3-h2...と戻すことが可能です。

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