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2017年02月24日06:42

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鈴木清順さん

鈴木清順さんが亡くなられた。

30歳の頃、私は広告代理店から小さな制作プロダクションに転職。
そこで、大手家電メーカーの広告制作に携わっていたのだが、
ある家電品のテレビCMの演出を、鈴木清順さんにお願いすることになった。

ご自宅に仕事依頼の電話を入れたところ、
やさしい声で「閑だからそちらに伺いましょう」と
二つ返事で引き受けてくださった。

打ち合わせの当日、築地にあったプロダクションへ、
頭に帽子を乗せ、ゴム草履のラフなスタイルで、ぶらりとやってこられた。
名作「喧嘩えれじぃ」の鬼才監督とは思えない
ひょうひょうとして、気楽な楽隠居の雰囲気を漂わせていた。

CMは、清順さんらしい型破りで個性的な作品に仕上がったのだが、
残念ながら、社風に合わないという理由でお蔵入りとなった。
謝罪の電話を入れたところ「まあ、よくあることだから気にしないで下さい」と、
仕事を引受けて下さったときと同じように優しい声だった。

撮影の休憩時簡に、うかがった「喧嘩えれじぃ」の裏話。

北一輝に刺激を受けて、動乱の東京を目指す決意をした
高橋英樹演じる主人公が愛する女との最後の分かれに、
障子を破って相手の女性の手を握る、
強烈な印象がだったラブシーンについて、
鈴木清順さんは、「あれは高橋英樹が、ラブシーンが下手だったので
苦肉の策だった」と笑いながら話してくれた。

清順美学を貫いた映画監督、鈴木清順さん93歳。
いっしょにお仕事をさせていただいた時はまだ50歳。
気さくで、心やさしいオジサンだった。
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