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2018年06月20日21:26

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「身体知性」

読書日記
「身体知性」
佐藤友亮
 著

サブタイトルに「医師が見つけた身体と感情の深いつながり」とあり、合気道家でもある医師の著者が説く、西洋医学と東洋医学を身体知性から横断する論考。

まず西洋医学が基本的に分析的である事。肉眼解剖学の発達によってもたらされた身体の部分的理解とその限界。次に実際の医療現場でわからないことを解決する直感的な思考・医師の経験からくる身体感覚的判断。ここまでは素直に理解出来る。
新鮮だったのは神経生理学者アントニオ・ダマシオの「ソマティック・マーカー仮説」。感情の揺らぎによって起きてしまうヒューマンエラーの話から始まって、「身体を通して受け入れる感覚刺激が感情(脳の機能)を作り出し、それが人間に意思判断決定を起こさせる」ことを解説。ダマシオの著書『デカルトの誤り』をひもときながら、「考える」という事(精神・脳の働き)は「生物学的有機体としての身体」なくしては生まれるものではないことが説かれる。これはちょっと目ウロコだった。

そのあとは身体を通して感情を整える東洋的な身体知性のはなしとなるが、これも部分的分析的な把握ではなく、総合的な身体の把握が大切なところ。合気道を介して説かれる内容は、確かにこの本を読んでいる上では理解出来るものの、やはり実際体験して初めてわかる知性だろう。
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