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2018年04月08日21:20

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レッド・スパロー


普段、観る映画を決める際に、役者で選ぶ事はまずありません。
まずは映画の内容、そして監督が誰かという事を重視します。
だって、役者がどんなに頑張っても映画が面白くなるのには限界がありますし、そもそも外人の名前は覚え辛くて敵いません。
あの映画は誰それが出ていたよね?とか聞かれても、「ああ彼ね!最高だったよ。」と口では答えつつ、心の中では「知らないよ、そんな外人」と思っている事が少なくないのです。

シュワちゃんやモーガン・フリーマン、サモハン・キンポーくらいならすぐに分かりますが、後は「白人、黒人、東洋人」「大人、子供、老人」「男性・女性・そうじゃない人」「チビ・デブ・ノッポさん」「髭・メガネ・巨乳」という区分けで判断する事がほとんど。
むしろ、役者でマイナスイメージが付く事の方が多いかもしれません。
ニコラス刑事は純粋に超駄作率が高いイメージだし、トム・クルーズの映画だと「応援しなくても、彼なら大丈夫」という安心感で寝てしまう事が多くて危険です。

しかし、この映画のジェニファー・ローレンスは、どんな映画に出ていても本当に素晴らしい存在感で、それだけで観た価値があると思わせてくれる特別な役者です。
心の底から駄作だと感じた「ハンガーゲーム」だって、彼女だけは良かった。
一番良かったのは「アメリカン・ハッスル!」の彼女で、主役でもヒロインでも無いのですが、出てくるだけで何かが起こるトラブルメーカーのとんでもない女の役でしたが、そのどうしようもなさが何ともチャーミングで素晴らしかったです。

彼女は女性の可愛らしさはもちろん、タフな部分も、冷徹で容赦無い部分も、見苦しくて愚かな部分も見事に表現し、しかもそれを一つの映画の中で全部やったりします。
最近だと「パッセンジャー」というSF映画でもそうで、主人公の過ちのキッカケにもなる魅力的な部分と、その過ちを徹底的に糾弾する恐ろしい部分を見事に演じ分けていました。
女性の甘い部分と強烈に苦い部分を当然のように使い分ける恐ろしさが何よりの魅力だと感じています。

ただし、今回の映画はちょっとそういうのとは違います。
女スパイの役という事で、出来る限り感情を抑えた、何を考えているか分からない役なのです。
そしてそれがこの映画の肝でもあり、クライマックスまで本当にどうなるのか分からないサスペンスに繋がっているのです。

じゃあ、ただ無表情でいるだけなのかと言うと、全然違うのです。
それはそれはキツイシーンやエグイシーンが盛りだくさんで、やってる本人も大変なら、観ているこっちも大変。
何でもやると言うので、冗談で色々言ったら本当に全部やってしまったというレベルです。

女スパイものと言うと、「アトミック・ブロンド」「悪女」と立て続けに公開されていて、またそういう映画?と思う人も少なくないでしょう。
僕も正直そうだと思っていましたが、全然違いましたね。
凄まじいアクションを見せるための言い訳としてのスパイ設定では無いのです。
スパイというのがどれだけ人間性を無くす事で作られるかという部分なんかは「陸軍中野学校」を思わせる厳しさで、非常に嫌な気持ちになるシーンばかりなのです。

銃でドンパチとか、派手なカーチェイスはまるで無し。
あるのはキツイ拷問シーンとか痛々しい肉弾戦とかで、地味ながら迫力はあります。
複雑な話ではあるものの、いたずらに演出で分かり辛くしたりはしていないため、じっくりとサスペンスを楽しむことが出来ます。

この映画の監督はハンガーゲームシリーズの人だと知って、前述のとおりハンガーゲームの駄作ぶりにゲンナリした僕は驚いたのですが、実は監督したのは2以降との事。
この映画が素晴らしかったので、ハンガーゲームも我慢して2以降を観てみれば良かったな〜と思いました。
それにしても色々な意味で非常にアダルトな内容の映画でしたね。

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