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2018年04月09日22:15

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私のベストテン(第7回)

(7) 高坂 研
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mixi(平成28年4月2日)
覆面推理 Type B 
b)22ク→32

 盤面をよく見ると、「く・ク」が玉であることが分かり、また持駒にある「あ」〜「か」は勿論生駒。
 さて、ここで「キ」に着目してみよう。もしこれが成駒であれば、52の先手玉に不可能両王手をかけていることになるので「キ」もまた生駒であり、これで生駒は7種類とも使われていることが分かる。これより、51の「ケ」は成駒ということになり、これが何であったとしても先手玉に王手をかけているので、先手の「あ」「い」「お」「か」は後手玉に王手をかけていないことになる。
 すると、「あ」「い」「か」はいずれも持駒と合わせて3枚になるので、「あ」=金、「い」=銀、「か」=桂とすぐに決まり、これより「お」=飛も分かる。また、先手玉に王手をかけない生駒として、「キ」=香も決定する。
 残りは「ケ」のみだが、このような王手をかけることができる成駒は龍か馬であり、飛は売り切れだから、「ケ」=馬に決定する。持駒のうち盤面にない「う」と「え」は、枚数の関係から「う」=歩、「え」=角となり、これで全ての駒が判明した。

(a)の正解図)
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 では、b)はどうだろうか。先手の「あ」「い」「お」「か」が後手玉に王手をかけていないというところまではa)と同じ。しかし今度は「あ」=銀、「い」=金、「お」=角、「か」=香となる。この後もほぼ同様の推論を行うことで、「キ」=桂、「ケ」=龍、「う」=歩、「え」=飛となることがお分かりだろう。

(b)の正解図)
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 2解で龍と馬、飛と角、金と銀、そして桂と香が入れ替わるというツイン。如何だろうか?

 チェスプロブレムのletter problemの翻案として覆面推理が生まれた経緯は前回書いたが、将棋でもこういうことが可能であることが分かれば、次に考えることは「このルールで何が表現できるのか?」だ。それに対する、私なりの回答の一つがこれ。type Bは覆面推理の中でも一番情報量が多いので、これ以外にも色々な表現が可能だと思う。

 覆面推理(type B)の可能性を感じさせる作品を、もう一つご覧頂こう。

(7-a) 高坂 研
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平成30年度年賀詰
覆面推理 Type B

 まず、犬=玉は明らか。狗は3枚あることから小駒であり、歩・香・桂ではないことも
すぐに分かる。また、金・銀だとillegalなので(直前の着手が12狗打しかないが、それを戻すと玉方の戻し手がない)、これは小駒成駒であることが判明した。
 すると、狗=成桂以外は直前の着手が存在せず、更にその前の玉方の手を作る為には、直前の着手は24桂が12で何か玉方の駒を取ったと考える他ない。取った駒は21に配置している駒と同種なので角か銀であり、2手前の玉方の着手を作るには戌=銀とするのが唯一の手段だ。つまり、12で取られたのは玉方の成銀だったのだ!これで、全ての駒が判明した。

(正解図)
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 チェスピースがたった6種類しかないのに対し、将棋の駒は成生を区別すると実に14種類もある。レトロ解析を駆使してこれらをしっかりと切り分け、特定するロジックを構築することが、覆面推理の創作だと言えるだろう。
 それは決して容易な作業ではないが、まだ殆ど誰も足を踏み入れたことのない分野において、自分なりの狙いが実現できた時の喜びは格別だ。個人的には、覆面推理はオリジナルであるletter problemを凌駕するだけのポテンシャルを秘めていると思っている。
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