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2018年04月05日21:41

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私のベストテン(第6回)

(6) 高坂 研
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詰パラ716号(平成27年11月)
先手から1手詰にできる局面を構成せよ。
必要ならば、盤面を回転してもよい。
覆面推理 Type A

(正解図)
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(本作の解説は省略します。何故この配置になるのか知りたい方は、詰パラ719号(平成28年2月号)をご覧下さい)

 M.CaillaudがRex Multiplex誌に連載していた“LE COIN DU RETRO”のPDFファイルを若島さんから頂いたのが、平成26年の9月。勿論フランス語で書かれているのだが、どうしても解説を読みたかったので、本文をWordで写経してからGoogle翻訳にかけて英語に直し、更に日本語に訳す(残念ながら、フランス語→日本語だと殆ど意味不明な訳しか出てこないので、こういう迂回手順を取らざるを得なかったのだ)という、めちゃめちゃしんどい作業をやる羽目になった。半年ほどかかったが、途中で挫折せずに最後までやり遂げた自分を褒めてやりたい(笑)。
 ちなみに、この私訳は「レトロプロブレムの世界」という題でmixiの日記にて公開しているので、興味のある方はご覧下さい。一部に誤訳があるかもしれませんが、手順に関する間違いはない筈。

 手間暇かけた甲斐あって、このCaillaudのコラムから色々と貴重な知識を得ることができたのだが、その中でも特に私の興味を惹いたのは、A.FrolkinとA.Kornilovの筆による「レトロ解析における新しいアイデアについて」という一文だった。珍奇なフェアリーピースや特殊ルールを導入することなく(それらは目新しいかもしれないが、本質的な新しさではない)、今までにないレトロ解析の世界を切り開こうという強固な意志が感じられるもので、「クラシカルレトロは大体分かった。でも、リトラクターは余り面白くないなあ」と思っていた私の目には、ここで紹介されたcoloring problemやletter problemはとても魅力的に映ったのだ。その中から2作引用してみよう。

(6-1) A. Frolkin, A. Kornilov(Rex Multiplex 1983)
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盤面の向きを直し、駒を色分けせよ。
最終手は何か? (23+0)

(6-2) A. Frolkin, A. Kornilov(Rex Multiplex 1983)
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盤面の向きを直し、各文字に駒種を
対応させ、駒を色分けせよ。更に
最終手を決定し、2手詰にせよ。

(これらの解答は末尾に掲載します。チェスが分かる方は、是非挑戦してみて下さい)

 こうしてみると、(6)が(6-2)のかなり忠実なコピーであることが分かるだろう。この(6)をmixiの日記で発表して間もなく、中村雅哉氏から「こういう論理的な将棋パズルのコーナーを詰パラに作ろう」と熱心に誘われ、これが「将棋パズル雑談」というコーナーの新設へとつながっていく。拙作が中村氏の新たな才能を開花させるきっかけになったのなら、それだけでも(6)を作った甲斐があったというものだ。
 ただ、一寸予想外だったのは、推理将棋のときと違って、未だに「私も作ってみました」という人が殆ど現れないことだ(私と中村さんの他には、武さんくらいか)。実は「将棋パズル雑談」を始めるにあたって、最初は易しい問題から始めて徐々に難易度を上げていくべきか、それとも最初にガツンと強烈なインパクトを与える作を出題して読者の興味を惹くべきか、中村氏とかなり突っ込んだ議論をしている。結局、私が後者を強く主張して第1回に(6)が出題されることになるのだが、その後もなかなか新人作家が現れないところを見ると、この方法論は失敗だったのかもしれない。

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(6-1 solution)
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(6-2 solution)
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