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2018年01月14日20:24

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原子時計

以下、セイコーミュージアムより引用

原子時計最前線

他の最先端研究の基礎になるテーマとして、
超高精度な原子時計の研究開発が進んでいます。
300億年で1秒しか誤差の出ない時計とは、どんなものでしょうか。


原子時計は1955年に実用化され、1967年には「セシウム133原子時計」が、国際単位系(International System of Units) において一秒を定義する基準となりました。
セシウム133は、セシウム原子の様々な同位体の中で、放射能を出さず、自然界で唯一安定して存在しているものです。
この記事では、原子時計の基本原理、様々な種類の原子時計、次世代の原子時計と研究の最前線を取り上げます。





「原子時計」とは

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原子の模式図

原子は、中心にある原子核とその周りの軌道を周回する電子でできています。
原子の状態には、軌道や磁力の強さなどの違いにより、それぞれエネルギーの異なるものがあることが量子力学によって明らかにされています。
原子は、エネルギーの違う状態に変わる際に、特定の周波数の光や電波を吸収したり放出したりしています。
この電磁波や光の周波数を、精度の高い時間の基準とするのが原子時計です。
原子時計の仕組みを考えたのは、アメリカのイジドール・ラビ博士、1945年のことでした。
現在使われている原子時計には、セシウムを始めルビジウム、水素など周期表の I族の原子が多く使われ、その方式にはパッシブ方式とアクティブ方式の二つがあります。
様々な周波数の電磁波を原子に当て、共鳴するものを見つけることで、周波数を特定する方式がパッシブ、原子から電磁波を出させて測定する方式がアクティブです。
現在使われている原子時計の大半は、パッシブ方式です。




原子時計の種類

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原子ビーム時計 切断モデル

原子時計にはさまざまな仕組みがあり、それぞれに最適な原子を使っています。 複数の原子が使われているタイプもあります。
原子ビーム式は、世界の一秒の基準となっているセシウム133原子時計に使われている方式です。
一方、原子ガス式は構造が簡単で、精度がやや低いけれど低価格のものがつくりやすいタイプです。高価高精度なものではGPS衛星などにも使われているルビジウム原子時計があります。
アクティブメーザー式は、短い時間で測定できる方式です。 名前の通り、ここに挙げた中では唯一のアクティブ方式で、水素メーザーが主流です。
冷却原子泉式は、電子ビーム式の精度を高めるために工夫を施した方式です。 その計測過程で原子を噴水のように垂直に打ち上げることがこの名前の由来です。
イオントラップ式と光格子式は、次世代の原子時計として期待される方式です。
電磁波ではなく、より高振動の光の周波数を測定します。




世界最初の原子時計

世界最初の原子時計は、イギリスの国立物理学研究所 (NPL) で開発されたセシウム133原子時計です。 原子時計の精度を表す単位として「10のマイナス何乗」がよくつかわれますが、開発された当初の1955年には10-10でした。 これは、300年に1秒の誤差に相当します。
実は、これに先立つこと6年、1949年にアメリカで開発された原子時計がありましたが、精度は当時の水晶時計を下回り、稼働する現物で原理を証明して見せたことに留まりました。

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原子ビーム時計模式図

当初のセシウム原子時計は、「原子ビーム時計」です。
図のように高真空のタンクの中でセシウム原子を熱し、原子ビームを作ります。 そのビームに、中央で二回電磁波を照射し、セシウム原子の周波数を特定します。
二回の測定の間隔が長いほど、干渉効果により特定すべき周波数の幅が狭まり、測定の効率と精度が上がります。 原子ビーム式の場合、図で分かるように、構造上最大で取れる幅は2mがやっとで、常温で秒速200mで飛ぶセシウム原子の二回の測定の間隔は1/100秒、周波数の幅は100Hz程度です。
この部分を工夫したのが、冷却原子泉式です。
まず、セシウム原子を絶対零度近くに冷やして、その動きを秒速1cm程度まで遅くします。
その上で、垂直に打上げて重力で自由落下させます。
この上昇時と落下時の二回測定する仕組みです。 このやり方だと、測定の間隔が1秒ほど取れるので、測定周波数の幅は1Hz程度まで縮まり、100倍精度が上がります。
原子泉型を宇宙にもっていけば、無重力に近い状態で落下速度が遅くなるため、更に10倍精度が上がると予想されています。
現在日本標準時は、ベースの時間を水素メーザー式で作り、セシウムを使った冷却原子泉式で、微細な誤差を修正して作っています。
最近の原子泉型は、10-16の精度を持っています。これは、3億年に一秒の誤差に相当します。




次世代は光

時間計測の精度を大きく改善した原子時計ですが、これをはるかに凌駕するレベルの新しい原子時計の研究が続いています。
原子によっては、電磁波だけでなく、特定周波数の光を吸収・放出します。
この光を特定して、時間の基本単位としようとする試みです。
光 (可視光線) は、電磁波より周波数が高いので、これを基準とすると時間をより細かく計測できるはずです。
しかし、高周波数であるがために、原子が動くときに生じるドップラー効果が、相対的に大きなノイズとなって影響してしまうのが課題でした。
これを解決するには、原子を一か所にとどめるメカニズムが必要です。
いずれも原子としてはストロンチウムやカルシウム、水銀など、周期表の II・III族とその仲間を使用しますが、現在研究されているのは2つの方式が主流です。

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光格子の概念図

一つめは、イオントラップです。
電子を1個はぎ取った原子 (イオン) を一つだけ電場のわな (トラップ) にとらえ、そのイオンの共鳴周波数を何度も計測して雑音を取り除き、周波数を特定します。
この方法の弱点は、計測回数が100万回にも及ぶため、十数時間の計測時間がかかることです。
多数の原子を捕えて一気に計測してしまえば、計測時間は短くできます。
これを可能にするのが「光格子時計」で、この方式は東京大学の香取秀俊教授が発案し自ら開発した、日本オリジナル方式です。
位相のずれた二つのレーザー光を重ね合わせると、互いに強め合う部分と弱め合う部分ができ、このイラストのような卵パックに似た「干渉縞」を生じます。 この干渉縞に原子をとらえるのです。
この方式の弱点は、沢山とらえた原子同士が比較的近くにあるので、相互に影響しあって周波数がずれてしまう可能性があることです。
世界各国の最先端の研究所が、この二つの方式の研究を競い合っています。
研究が進むと別の課題が生じることがあります。
たとえば、光格子時計で精度が上がると、原子同士の影響が無視できなくなり、それを極小化することがさらなる改善のための研究の焦点となります。
二つの方式がそれぞれ長所と短所を持っているので、一つの方式の課題が大きいと、他の方式の有利さが逆に目立ってくることもあります。
光で時計を実現するためのもう一つの大きな課題は、光はそのままでは周波数を測れないということでした。
この解決には「光周波数コム」(櫛) と呼ばれる仕組みが考え出され、光の周波数を電磁波を基準として測ることができるようになりました。
まず超短パルスの光を原子時計で制御し、電波周期程度の間隔で精密に繰り返しパルスを発射し続けます。するとこの光は、原子時計の精度で電波の領域の目盛りを持った光の信号となります。様々な工夫を加えてこの精密な目盛りを基準とすることで、光の周波数を原子時計の精度で測れるようになりました。この技術は、開発されてからわずか5年で、2005年のノーベル物理学賞を受賞しています。
時計の精度を確認することがまた課題です。
というのも、世の中にそれ以上高精度のものがないので、「ものさしがない」状態なのです。
これを解決するには、高精度の時計同士を比較して、確認する方法をとります。




最先端を走る日本

時計を比較する実験において日本は世界で最先端を走っています。2011年に国立研究開発法人情報通信研究機構 (NICT) は、機構本部のある小金井市と東京大学本郷キャンパスの間で光周波数信号を光ファイバーで精密に伝送する技術を開発し、東京大学香取秀俊教授の研究所とNICT時空標準研究室がそれぞれ運用する光格子時計の周波数を比較し、結果10-16台の精度で一致することを確認しました。
ヨーロッパでは、英独仏伊の4研究所を光ファイバーで接続し、それぞれの運用する原子時計の精度を確認するプロジェクトが進行中です。
2016年には、フランスのSYRTEとドイツのPTBが運用している光格子時計が、1400kmの光ファイバーで接続され、5×10-17の一致精度が確認されました。
アメリカでは、コロラド州の二つの研究所をつないで、同様の確認を行っています。
また、国内でも東大本郷キャンパスー理研和光本所間のリンクが近年整備されました。
今後研究が進むと、10年後には、一秒の基準が今のセシウムの電磁波から、いずれかの原子の光に変わることが期待されています。


引用終わり

セイコーミュージアムより
https://museum.seiko.co.jp/knowledge/relation/relation_12/





意識も原子時計と同じように、正確に時を感じることができればと思います。

忙しい時はあっという間に時間が過ぎていきますし、暇な時は時間がゆっくり進んでいるように感じとても退屈です。
しかし不思議なのは
忙しい時のことを思い出すと時間が長かったと感じられ、暇な時のことを思い出すと時間が短かったと感じられることです。

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