はるか信州より　　ロック君、ゲロゲロ事件！

　奥さんが顔を腫らして治りかけの時期のことである。ロック君が散歩中にゲロゲロ吐くではないか！　内容物はほとんどなく、真っ黄色な液だけ。まあ、犬というのは結構吐きやすい生き物なので、ちょっと様子見をしていたが、その内に家の中でもゲロゲロ吐くし、ゴハンも余り食べなくなった。

　そしてウンチをした時に、なんとウンチに血が！　寒くなって切れたのだろうは思ったのだが、やはり体調自体がよろしくない。週末にお医者さんのところに連れて行った。

　お医者さん　「今、何歳だっけ？」
　奥さん　　　　「１０歳です」
　お医者さん　「このくらいの歳になるとねー、若い頃は自力で治せていた体調も、なかなか治せなくなるんだよ。ちょっと体調崩すと長引いちゃったりね」
　僕　　　　　　「黄色い胃液吐くんですけど」
　お医者さん「黄色いのは胆汁が出てるんだね。逆流してるわけ。お薬と、消化のいいゴハン出しますんで、それで様子見てください」

　というわけで、缶に入ってるフードを２缶と、いつもは食べないような高級フードを一袋出してもらった。缶のフードは半分にして、夜と朝に分けて出す。そしてゴハンに、粉薬を混ぜて食べさせるのである。

　さて、そんな食事療法を三日ほど続けると、……あっさり治った。ゲロゲロも治ったし、ウンチの血も止まった。よかった、よかった……と思い、ゴハンを元に戻すこと数日。

　その間、薙刀の稽古があった。ロック君はお休みの日は、「今日はお休みだ！　おでかけ？おでかけ？」と朝からはしゃぐのが常である。しかし、この日は薙刀の稽古なので、家で留守番させた。家を出る時の、ロック君のうらめしそうな顔……

　で、戻ったその日。またゲロゲロが！　しかもそこから雪崩を打つように体調を崩し、家の中でウンチのおもらしをし、しかもそれには血が混じっている。家の隅でところかまわず真っ黄色な胃液を吐く。この状態は、前より悪い！

　僕　　　「留守番させたのがストレスだったのかな」
　奥さん「ゴハンも元に戻したけど……そもそも、あれが原因なのかも」
　僕　　　「もう、消化できないってこと？」
　奥さん「前から、そろそろシニア用に替えようかなとは思ってたんだけど」
　僕　　　「寒いのも原因かも。服買ってこようか」

　…とか色々相談して、再び缶のゴハンに薬（もらったのが残っていた）をかけるところから始め、病院でもらった高級食に戻した。そんなこんなで数日……

　あっさり治った。いやあ、よかった。ちなみにだが、この近所の動物病院のお医者さんは、自分でもジャックラッセル・テリアを飼ってる方なのである。非常に信頼がおけるいいお医者さんだ。

　健康診断に行くとロックの顔を自分の方に向ける。するとロックは目を逸らす。これは、僕がやってもそうなので、犬ってそういうものかと思っていた。が、

　お医者さん「いやあ、やっぱりジャックは人と目を合わさないねえ。あはは」
　僕　　　　　「そ、そういう犬種ですか」

　ロックが目を合わすのは、ゴハンが欲しい時くらいである。現金な奴だ。

　そんなこんなでロック君はすっかり元気になったが、これを機にゴハンをシニア用（１１歳以上用）に替えた。生意気にも最初は、「前に病院からもらったヤツの方がうめーよ」と言わんばかりに食べなかったのだが、さすがに空腹には耐え切れず食べるようになった。それでお腹も壊さないし、ウンチもしっかりしてきた。これで一安心である。

　あと、この期間中にロックに久しぶりに服を買った。やっぱ信州の冬は寒いからね。ロックの服姿は、子どもの時以来だが、なかなか可愛い。おー、まだイケてるじゃんか、じいちゃん。寒さに負けず、長生きしてくれよ。

　ロック君、青い服！


　ロック君、あまあま姿！