ヒルドイドソフト軟膏を美容目的で使うことについての是非の話は置いておく。
ヒルドイソソフト軟膏自体は良い薬で
乾燥肌には1日何回塗ってもいい、目立った副作用もなく、比較的安全性の高い薬。
「ヘパリン類似物質」で調べれば市販に似たものもある。
https://minacolor.com/brands/3030/articles/1762/
医薬品なのだから「絶対安全」ではないが
乾燥してない普通肌〜脂性肌の人には向いてないから使わない方が良い程度で
ふさがってない傷口や粘膜を避け、
使用してかゆみや赤味など肌に合わない様子があったら使用を中止すればいい。
「皮膚科に行くほどでもないけど、冬場は肌がカサつくのよね…」
という人が普段のスキンケアに使っても良いと思う。
この薬そのものに関しては。
………結局是非を書いてしまった。
そうじゃなくて健康保険の話だ。
健康保険を「医薬品を安く手に入れられる制度」だと
健康保険証を「割引券」だと思ってる人はいないか？
いや確かに一言でいうと「医薬品を安く手に入れられる制度」なんだけれども。
「保険」なんです。
怪我をしたり病気をして高額の医療費がかかったときのための「保険」
怪我も病気もしてない人が、怪我も病気もしていない間、働いたお金から
決して安くない保険料を支払って、
みんなの保険料（国民健康保険は「税金」になりますね）を集めて、
そのお金から
今現在「怪我をしたり、病気をしている人」にかかる医療費の半分以上をまかないます。
みんながみんが「高い保険料払ってるんだ。元を取ろう。」なんて考えだしたら
当たり前ですが「保険」として成り立ちません。
心配しなくても、2人に1人は一生の内にだいたい元取れますから。
通常窓口で支払う金額の、3倍〜９倍のお金が保険から出ています。
実際の費用としては３〜１０倍かかっているのです。
病院や薬局で明細を「こんなのもらってもわかんないから」と
ポイしてく患者様結構いらっしゃいます。
「こんなにかかってるのね」と気に病む必要はまったくありませんが
せめて本来どれくらいの医療費になっているか目を通してほしいです。
とくに負担金ゼロのお子様をお持ちのお母様と生活保護を受けられている方。
一部か全部が健康保険でなくダイレクトに税金が使われています。
あと負担金1割のご高齢の方、
「５００円だからいいわ」って、そのお薬５０００円です。
日本は超高齢化をむかえずっと医療費が膨らみ続けてます。
税政を圧迫し
日本が世界に誇る「国民皆保険制度」は崩壊の危機です。
保険料は確かに高いけど、これは本当に誇って良い制度です。
日本に生まれてよかった！
オプジーボやそれに続く超高額医薬品が問題になってますが、
もっと問題なのは、
保険を使う患者さんたちの危機意識の低さです。
自分1人が病院で出してもらうお金位、
膨らみ続ける日本の医療費に関係ない、と思いますか？
上にも書きましたが
皆が保険料の元を取ろうとしたら、「保険」ではなくなってしまうのです。
�”畸壁賊，砲蝋圓�ない。
たまに風邪引いて風邪薬をもらう程度。という方、
正しい使い方です。すばらしい。
�∋�病があるので定期的に通院している。
薬はきちんと飲んでいて、余ることは無い。という方、
もちろん正しい使い方です。すばらしい。
けど、
��持病があるので定期定期に通院している。
薬の飲み忘れが多くてよく余っちゃうんだけど、
医者に怒られちゃうから余った分は捨てている。という方、
そのお薬の本当の値段を一度明細見てください！！（TДT）お願いです！
毎月自己負担分５００円分の薬を捨ててたら、
毎月５０００円分の薬を無駄にしていることになります。
ご本人的には「５００円位いいわ」かもしれませんが
医療費的には月５千円、年間6万円の無駄です。たった1人の患者さんのために。
同じような患者さんが10人いたら年間60万円の無駄です。
また、
�せ�病があるので定期的に通院している。
ついでに毎回風邪薬をもらう。
別に風邪ひいてないけど常備薬にもらってる。
余るから家族や知人にあげている。喜ばれるのよ、私良いことした。
たまにいつもの先生じゃない先生が居て風邪薬をくれない。
あの先生はケチだ。
という方。
そして今回の
�ぁ濃匐，忙�病があり定期通院している。
子供の薬はきちんと飲ませているが、
ついでにわたしが使いたいので保湿剤を多めにもらっている。
たまにいつもの先生じゃない先生が居て保湿剤をくれない。
あの先生はケチだ。
という方。
それは不正受給です！！
処方箋で受け取るお薬には
「医薬品副作用被害救済制度」というものがあります。
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai_camp/index.html
医薬品（病院・診療所で処方されたものの他、薬局等で購入したものも含みます）を
適正に使用したにもかかわらず、
その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合に、
医療費や年金などの給付を行う公的な制度です。
�い里茲Δ幣�渡で副作用が発生した場合、
この救済制度を利用することができません。
薬を受け取った人にとって危険な行為ですのでやめましょう。
そもそも「けがや病気で困った時」のための「保険」です。
健康維持増進や病気の予防には保険は給付されません。
予防接種に保険が利かないのは「怪我でも病気でもない」からです。
怪我でも病気でもないのに「保険」を使って「保険金の給付を受ける」
（病院・薬局でお会計をした時点で、1割負担なら9割、3割負担なら7割の
「保険金」を受け取ったことになります。）
立派な不正受給です。
「不正受給とか人聞きが悪い。私に関係ない。皆やってる。」
と思いますか？
それ、議員さんやお役人さんの税金の私的流用と同じ行為で同じ考え方です。
「自分1人が気をつけたって、みんなやってるんだから。」
税金の無駄遣いも医療費の無駄遣いもなくならないわけですよ…
自分事だと意識してない人が居るのだから…
普通の人は意識してらっしゃるんですよ！
ちゃんと！
薬が余っていれば「余っている」と言って
日数を調節したり1回断ったりしてくれます。
先日、印象的な患者様がいらっしゃいました。
脳の疾患の予後がよくなく、ずっと松葉づえの方で、
生活保護の方なので自己負担金はゼロ円なのですが…
「このかゆみ止め、まだあるから、今日はいらないよ。もったいないからね。」
神か！！Σ（°Д°*)
いえ、普通のことなんですけどね。
要らない薬が出てたら、要らないって言う。
使わないのにもったいないって思う。
普通です。
でも、この反応が「神様か！」って思ってしまう位なんですよ。
とくに自己負担の無い生活保護の方々は
「とにかくもらえるものはもらっとこう！」という方が多いので
風邪薬も湿布も睡眠剤も上限までもらうとするので……
自己負担が無いのに、
ちゃんと要らない薬を「要らない」と言ってくださるこの方が
（お体がお辛いでしょうに、いつもニコニコして丁寧な方です）
神様のように見えてしまうのです……
最近は薬剤師も「在宅医療」に関わるようになり、
患者さんのおうちへお邪魔してお薬の整理をさせてもらうこともあります。
わたしは勤務時間が短いため、窓口混雑時間帯のピンチヒッター的立場で
まだ在宅の経験はありませんが
ご高齢の方はかなりおうちにお薬をため込んでいらっしゃいます。
初めてお伺いすると、
お薬本来の値段（薬価）にして５〜１０万円分のお薬が出てくることは当たり前の事だそうで…|||iorz
みなさまどうか
今後の日本の医療費に少しでも関心がございましたら
一度病院や薬局から出る明細を見て
保険が利かなかった場合の金額に目を通すことからお願いします。
※※※※※※※※※
最後に、あまり知られていませんが
処方箋に書かれていた薬でも、
余っていたり必要がない場合、
薬局で断ることができます。
正確には、薬局から病院へ薬が余っていることを連絡し
医師の判断で削除や日数調整を行います。
この場合、薬局で勝手に減らしたりはできないので、
先生が診察の合間に返事をくれるまでのお時間がかかります。
「先生に余ってる事を言い忘れた！」
「先生に言うと怒られそうで言いにくい…」
という方、ぜひ薬局を利用してください。
ただし、重複投薬・相互作用等防止加算３０点（300円）が
お薬代に上乗せされることがあります。
1割の人なら30円位、3割の人は90円位です。
薬局により取ってたり取ってなかったり条件付きで取ってたりするので
利用する薬局でお尋ねください。
（自分の勤務先は、加算をつけても薬を減らした方がお会計が減る場合のみ
説明して加算させてもらって
お薬を断ったり減らしたりするようにしてます。）
医者に直接余ってることを言って調節してもらう方が
早いし安上がりですねｗ
調剤薬局のいちパート薬剤師としては
※※※※※※※※※から上のような事情をお話しはしないけど心の片隅に置いて
患者さん1人1人に
「お薬が余ったり、足りなかったりしていませんか？」と
お声かけさせていただいています。
もちろん、単純に余ってたらもったいない、
飲み忘れが多いなら、
用法の違う別のお薬の方がいいのでは？
と思ってたりもしてます。
保湿剤「ヒルドイド」美容目的での使用推奨は法律違反のおそれ 製造販売元が注意喚起
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=diary&id=4833505
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