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2017年09月26日21:21

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「希望の党」の財源論に「希望」はあるか

【お断り】
この日記は、公職選挙法抵触の疑いを避けるため、2017年10月21日24時前から、翌22日20時過ぎまで、公開を停止させていただきました。


◇自信をもって財源を答えられるか

安倍総理大臣が2017年9月25日18時に総理大臣官邸で行われた記者会見で、同月28日に召集される第194回臨時国会の冒頭で衆議院を解散する旨、正式に表明した。
そこからさかのぼること3時間半前の14時30分、新宿の東京都庁では、主である小池百合子東京都知事が、新党「希望の党」を立ち上げ、小池氏自らが代表となると発表した。
小池氏が国政政党党首と都知事のいわゆる「二足のわらじ」状態をこなしきれるのかについては、ここでは言及を差し控える。
大事なのは、これから具現化されるであろう政策を実行していくに際し、必要となる財源を明示できるか否か、また明示できた場合、それが信憑性を持つか否かだ。

ここで、9月25日の安倍総理の会見後の質疑応答から一部を抜粋してみよう。
ちなみに引用元はロイター日本語サイトの電子版である。

「情報BOX:安倍首相、過半割れなら『私も辞任』」
https://jp.reuters.com/article/information-box-abe-to-resign-idJPKCN1C01SD

問)【上略】なぜ、借金返済分ではなく、他の費目を削って教育無償化の財源にしないのか。
【以下略】
答)【中略】確かに、予算の無駄を省くことは当然だが、これだけ大きな予算、他の予算を削るだけで出てくるかどうか。あるいは他の予算から削ってきたもので充当しようとすると、残念ながらその規模は小さくなってしまう可能性もある。私たちは無駄遣いをなくせば2兆円出てくる、と無責任なことを言うわけにはいかない。【以下略】

一国の総理大臣、つまり最高政治責任者としてある種真っ当な回答ではないかと思う。


◇ないがしろにされてきた国防予算

ここで一旦、話を国防に転じてみようと思う。
皆様方ご案内の通り、さる8月29日と9月15日のいずれも早朝、北朝鮮は襟裳岬上空を通過する形でミサイルをそれぞれ1発ずつ発射した。
8月の時は襟裳岬沖東約1180キロ、9月の時は襟裳岬沖東約2200キロの海上に落下したが、いずれも日本の国土にミサイル本体やその破片が落下する危険はなくなったとして、迎撃処理は行われなかった。
ところで、1発目のミサイル発射の1週間前に当たる8月22日、日本の防衛省は2018年度予算の概算要求として、過去最大の5兆2551億円を計上した。
ちなみに日本の2016年GDPは4兆9386億ドル、ざっと545兆円となるが、過去最大の概算要求でも、実はGDPの1%にも満たない額ということになる。
国際的な基準では、GDPの2%前後とするのが一般的とされているので、これに従えば日本は11兆円規模の国防予算を組むのが妥当ということになる。

さて、先のミサイルだが、1回目は高度約550キロ、2回目は約800キロだったとされているが、実は現在日本が保有している2種類の弾道ミサイルであるSM-3とPAC-3は、それぞれ高度が300キロと15キロまでに限られていて、300キロを超える高度を飛ぶミサイルを迎撃できないということになる。
またPAC-3は、高度がSM-3よりも限られている上、2017年8月時点において全国で16か所にしか配備されておらず、範囲外の地点に落下しようものなら、間違いなくそのエリアは吹っ飛ぶ。
2021年度には高度1000キロ前後まで届くSM-3の改良版が配備されるというが、北朝鮮がそれまで待つわけもないとなれば、さらなる国防体制の強化と、それに向けた財源の調達が急務となる。


◇「男女共同参画予算」という無駄

そのために、真っ先に削らなければならないのが、男女共同参画関連予算だ。
こんなことを言うと男女差別だなどという批判を多数受けることになるが、1999年6月23日の男女共同参画社会基本法が施行されてから、巨額の予算が投入され、2017年度だけで8兆0041億円もの巨費となったものの、所期の目的達成には程遠い状況であり、元駐ウクライナ兼モルドバ大使の馬淵睦夫(まぶち・むつお)氏を筆頭に、その予算の存在自体を無駄と指摘する声も少なくない。
これを丸々国防予算に回し、日本の安全保障体制強化を図るべきではないか。

話がだいぶそれてしまった。
私がこの国防予算の「不都合な真実」に気づかないままだったら、正直消費増税は必要ないという立場だっただろう。
しかし今日本が置かれている状況を踏まえれば、国防体制強化は急務であり、それと並行して福祉の充実を図るのであれば、消費増税の選択肢を排除するのは得策とは言えないのではないかという気がする。
いや、もしかしたら男女共同参画関連予算以外にも無駄な使途がまだまだあるのかもしれないが、その有無も含めて財源の検証は真剣に行われなければならない。


◇財源を語らないとただの「美辞麗句」

ここでようやく、先の安倍総理の記者会見に話が戻ることになった。
どんな政策を実行するにあたっても、そのための財源に関わる話はセットで論じられなければない。
そして安倍総理は、予定通り2019年10月1日に消費税率を10%に引き上げる一方、約2兆円分を幼児教育無償化に充てる旨方針をシフトすると表明した。
その実行の可否を国民に問うべく、28日の衆議院解散を宣言したわけだが、これに先立って行われた小池氏の会見はどうだったか。

「『日本に足りないのは希望』小池百合子氏『希望の党』結党宣言 都知事と党代表兼ねる」
http://www.sankei.com/politics/news/170925/plt1709250053-n2.html

【上略】小池氏は結党の意義などを饒舌に語り、「政策は希望の政治。しがらみのない行政改革。全国知事会に出席しましたがほとんど霞が関出身者。これで本当に地方分権できるのか。国政において改革していく必要がある」として、政策について「しがらみのない政治」や「徹底した情報公開」「女性活躍」などをあげた。景気対策については、「希望の経済。消費税増税に関してですが、実感のともなわない景気回復。(増税は)水をさすのではないか」と指摘した。【以下略】

まず消費増税に代わる財源についての言及がない。
尤も、このくだりの直前で小池氏は、「フランスのマクロン政権は法人税25%(に引き下げ)などの改革する中、日本はそれに間に合っていない。」とコメントしていることから、法人税減税による労働者の所得向上によって、税収増加を図るべきという考えを含ませているともとれる。
だが、同様の施策を日本でやった場合の試算についての明示がなく、消費増税分の一部を幼児教育無償化の財源とすると宣言した安倍総理と比較しても、致命的と言わざるを得ない。
しかも「女性政策など、ダイバーシティ政策の確立」などを党是としている点を踏まえれば、年間8兆円規模の男女共同参画予算について、言ってみれば「聖域化」していると思われても仕方がない。
一方で、国会議員の削減を目指すとしているが、実は国会議員一人に支払われる費用は歳費・文書交通費・秘書給与など全部足しても6000万円程度で、衆議院定数削減前の衆参の定数合計717人分を掛けても、430億円程度でしかない。
仮に200人削減したとしても120億円程度の削減にしかならず、これでは雀の涙だ。


◇財源なき政策は頓挫する

国防・福祉・教育支援など、国益に資するために真に必要な用途は何なのか。
そしてどこに財源を求めるのか。
無駄を突き詰めて、それでも消費増税は避けられないのか。
あるいはそれを避け、選択と集中で、ある政策の優先度を下げて先送りするのか。

2009年の旧民主党政権への交代に際し、旧民主党は「ガソリン暫定税率廃止」「高速道路無料化」「子ども手当充実」などといった公約を掲げ、それらの財源捻出を目的としていわゆる「事業仕分け」を行った。
これで財政がスリム化するかと思いきや、あろうことか2010年度当初予算の一般会計総額は92兆2992億円となって、逆に前年度の88兆5480億円よりも3兆7512億円も増えてしまい、結局高速道路無料化などの目玉政策は頓挫してしまった。
政策の中身云々もさることながら、財源が確保されなければ話にならないという教訓だ。

日本維新の会の「高等教育無償化」政策にしてもそうだが、「消費増税は反対だが、代わりとなる同党の財源をどこから引っ張り出すか明示しない」というのでは説得力に欠ける。
浅学、というより下手をすればほとんど予算に関する知識がなきに等しい私がこんなことを言うのもおかしな話だが、政治のプロともなれば、どこそこの使途についてはあまり(あるいはまったく)効果がないから削ってしまって、代わりに別の政策の予算に充当すべきという声をあげていただきたいものだ。


◇国益を考えた4党の議論への期待

ただ、希望の党や日本維新の会の存在が救いといえるのは、ほかの4野党(中野正志参議院議員が残留した「日本のこころ」を除く)とは違い、それなりに国益というものを考えている点だろう。
2025年前後には、軍事費がモンスターみたいに強大化した中国との戦争が起こるという信じがたいシナリオもささやかれるが、それでなくとも、北朝鮮という目に見えた「ならず者国家」から国を守るために、集団的自衛権行使範囲拡大や自衛戦争容認、さらにはスパイ防止法制定といった、国家存立のために必要な政策について、自民・公明・希望・維新の4党で真剣な議論が展開されることを心から願う。
そして、希望・維新の両党が本当の意味で自民党と対峙し、健全な野党、あわよくば政権交代を目指しうる政党となるためにも、政策と財源は不可分一体だという認識をもって国政に当たっていただきたい。
それが我が国の民主主義のために必要だと思っている。
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