グレートギャッビー3

　そう、井上芳雄です。

　井上芳雄さん自身が「僕も宝塚の男役になったつもりで演じています」と言っていました。アフタートークショーでも「もしかして、僕宝塚にいたことがあったんじゃないかな、と思う」とかおっしゃってましたっけ。

　立ち振る舞い、背中の魅せ方。それは意識して作られたものです。背中から漂う哀愁や大きさは自然ににじみ出るもので作られるものではない、とすると、芳雄さんのギャッビーはまがい物、ということになる。でも、私はそれでいいと思いました。
　井上芳雄さんは、「技術がすごい」のです。ご自分の魅せ方を、宝塚の男役の方と同じく、よくご存知で、計算していらっしゃる。

　娘は、実は山崎育三郎さん派で、「芳雄より育三郎の方がイケメン」とよく言います。でも、その娘が、「やっぱり芳雄すごいな~~~。舞台ではイケメンに見えた」と言いました。本当に舞台の上の彼は美しい。
　そして歌がすごい。

　歌える人って本当に得だ、と思います。
　ある程度歌って、天性のもので、声がいい、音感がある、というのは生まれながらに持つ天からの授かり物だと思っているんですが、その天からの授かり物の声を最大限に生かし、人に与えている、それが彼なのだと思います。
　あの声で浪々と歌い上げられて落ちないなんてあるのだろうか

　私、出待ちしました。

　前回の城田優で、学んだんですが、「出待ち」はお行儀よく一列に並び、騒ぎ立てず、順番を待てば、必ず握手をしてもらえるのです。
　キャー、とか誰も言いません。
　お手紙を持ってきた人はそのまま手渡し。

　「娘と来ました。試験中なのに」とかテンパって言ったら、「試験中なのに」とおうむ返しに話してくれた芳雄さん、手をぎゅっとして、すぐ去ってしまいましたけどね。
　「いいなあ、ママは好きな人がすぐ会える人で」と某グループファンの三女が隣でつぶやいておりましたいや、なかなか会えないって。一年に一回くらい会えたら満足かなあ。