愚者が好きな「自己責任」という言葉。

この問題には、いろいろな前提があります。
前提を挙げましょう。

１　人は教育を受ける権利がある。

２　教育には、髪型、行動、年齢、家族構成などの条件が付いているわけではない。

３　人はセックスをする権利がある。

４　子どもは社会のインフラであり、財産である。

５　まじめに勉強しろ、というなら、高校生の９５％は、退学だ。教員の８０％以上は、分限免職だ。


まず、
１　人は教育を受ける権利がある。　２　教育には、髪型、行動、年齢、家族構成などの条件が付いているわけではない。
から。

思い出すのは、東条英機らの『戦陣訓』です。
「捕虜になるなら、死ね」というのは、天皇の命令でも何でもありません。正当性がない上に、損得でいうと、損です。つまり、感情だけなのです。
よく、「戦後の日本人は、バカになった。なぜかというと、特攻隊など二次大戦の損亡により、いい人材が死んだからだ。」
という人がいますが、あれは、一理あると思います。

なぜ、捕虜になりそうなら、死ななければならないのか。それは、天皇の意志でも何でもなく、軍部という出来の悪い官僚が決めたから。

同様に、出産したら退学しなければならないのは、教育界のお偉いさんがそう決めたからではないでしょうか。それが慣行のようになっていましたが、もちろん、本当に正しいとは限りません。

教育を受ける権利があるのは、憲法を持ち出すまでもなく、自明のことです。
その人がどういう人であるかとは無関係です。

欧米と違って、日本の大学生には多様性がありません。
特に年齢的な多様性がないのは、大学生の視野を狭めています。

３　人はセックスをする権利がある。
なぜ、高校生にはないのか。わかりません。
高校生Ａが子を産み、Ａが親（祖父母）にパラサイトして育てたとします。
他人が口出しできることではありません。祖父母が支援するかどうかは、Ａ一家の問題だからです。当然のことです。
隣の病院長の息子が、古文の成績が悪く、センター試験のない私立医大を受けるとします。
「古文を勉強して国立に行け。親に大金を払わせるな。」
なんて意見する他人が、どこにいるでしょう。
同じことです。

４　子どもは社会のインフラであり、財産である。

子どもは生まれた方がいいに決まっています。産みやすい世の中にするべきです。

５　まじめに勉強しろ、というなら、高校生の９５％は、退学だ。教員の８０％以上は、分限免職だ。

「勉強は学生の本分だ」という書き込みがありました。
勉強は子育てと両立しないものではありませんし、ノルマというものはありません。
たとえば、子どもを産まなかったら、『源氏』がほぼ読めるようになる人がいたとします。出産したから，『徒然草』の半分程度しか読めなくなったとしても、それはそれで意義があることです。

ずっと前にも日記で書いたことですが、
ファミレスで980円のセットを食べて、支払いの時にレジが壊れたことがあります。
２０歳ぐらいの美人がレジを打っていましたが、彼女は、計算機を取り出しました。客が千円札を出した。980円が値段だから、お釣りが２０円だという計算ができないのです。
それ以来、その子の挙動にはそれとなく注意していましたが、発達障害などとは思えない、どこにでもいるかわいこちゃんでした。
彼女も日本人。彼女が家庭教育をする、彼女の子どもも日本人です。
微分積分が理解出来なくても
彼女に簡単な四則演算計算ができるようにさせること。それこそが教育だと思います。

第一、「学生の本分」などということを言いだしたら、高校生のほとんどは、在学している資格はないということになります。

仮に、
「高校生に簡単なテストを課せ。成績が悪いものは退学させ、公費を節約せよ。」という意見があったら、賛否は別として、傾聴に値します。
しかし、
「妊娠したら退学させろ」
こんな意見は、聞く価値もありません。

何も無条件で公費をザブザブ使えということではありません。
ママさんを専門に集めた、東京で言うと、新宿山吹高校的な、生徒の個別の事情に配慮した高校を作るなど、折衷案はいろいろあるでしょう。


妊娠した高校生に卒業支援を
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=4669271