■夏目漱石・原作、近藤ようこ・漫画「夢十夜」2017年1月岩波書店刊
■阿刀田高、あさのあつこ、西加奈子、荻原浩、北村薫、谷村志穂、野中柊、
道尾秀介、小池真理子、小路幸也「眠れなくなる 夢十夜」2017年1月新潮文庫
「こんな夢を見た。」で始まる、漱石の「夢十夜」という幻想的な短編集は、
古くは、漱石の弟子でもあった、内田百�里�「冥途」という作品を書いた
ように、さまざまな芸術家の魂を、インスパイアしてやまない作品である。
前読書日記に続いての、漱石づくしだが、どちらも、今年１月に刊行された本で
思わず手に取った、積読書であった。
漱石作品の中でも、「夢十夜」は、異色の作品で、一度読んだら忘れられない
吸引力がある。
今回の読書日記は、その漱石の「夢十夜」にインスパイアされた芸術家の
オマージュ。
前者は、漫画好きな方なら、知っていらっしゃると思うが、漫画家の近藤ようこ
さんの作品で、漱石が遺した珠玉の小品「夢十夜」に名手近藤ようこさんが
挑んでいる。
近藤ようこさんは、以下のようにあとがきで記す。
“「夢十夜」を漫画家するかどうかは正直迷った。隙のない構成で、短編小説
でしか表せない世界だと思ったからだ。読解力も試される。明治末という時代相
にも勘が働かない。”
“とはいえ、やはり面白いので描いてみたい、自分がどこまでできるか見たい
という欲望には勝てず、やることにしたのだった。”
素晴らしい、作品だった。
そして、後者は、現代の名うてのストーリー・テラー10人による、一夜一編の
珠玉のアンソロジー。
こちらは、惹句を紹介。
“あなたにも、「忘れられない夢」がありますか。見知らぬ橋で、いつか訪れる
はずの誰かを待つ男。父親から命を受けた幼い息子が赴く上総の海。今際
の際に現れた、思い出を食べる伝説の動物ー。”
“100年の時を超え、夏目漱石「夢十夜」にインスパイアされた10名の人気作家
が紡ぐそれぞれの夢物語。「こんな夢をみた」の名文句に始まる珠玉の10編
を編みこんだ、儚くも美しい、夢アンソロジー。”
今夜、眠るとき見る夢は、どんな夢だろうか。
できれば、悪夢でないことを、祈りながら(^^♪
ログインしてコメントを確認・投稿する