🟡春の虹 走るホテル

最近、豪華客船のようなバスや列車が増えてきている。
曰く豪華バス、そして豪華列車。

豪華バスの映像を見ると、座席は個室に近く、水平に倒せ、飛行機のビジネスクラスみたいにゆっくり手足を伸ばして眠れるようになっていて、お値段に見合うくつろぎ空間がある。

けれど当然新幹線などより遥かに移動に時間がかかる。
それでも豪華バスを選ぶのは眠っている間に目的地まで連れて行ってもらえるため、着いた先でホテルに泊まらなくて済むというメリットがあるかららしい。

なるほど。
一晩くらいならお風呂に入らなくてもいいと思える人には時間の使い方が合理的だ。お値段もホテル代がバス代になると思えばさほど高額でもないのだろう。
出張で利用するサラリーマンも多いとか。

けれど豪華列車となると話は別。

狭い日本、どこに行くのもシベリア鉄道ほどの距離はないのだから、列車をホテルにする必要がどこにあるのか私にはわからない。

行く先が目新しいわけでもなく、車窓も普通の列車と同じ。
それは確かにゆったりと行けるし食事も豪華だろうが、そんなものはホテルでだって食べられるし、あちこち泊まりながら観光して周遊するのだって十分ゆったりとした旅になると思う。
多分豪華客船のようなリピーターはそうはいないだろう
そんな気がする。

結局は豪華列車なんて言うのは単なるステータスにすぎないんじゃないだろうか。
人間はどうしてもある種の優越感を味わいたい生き物なのだろう。

海外旅行がステータスだった時代はとっくに過ぎた。
あなたの虚栄心は走るホテルの豪華列車の旅で満たしてあげましょう。
いかがですか？と言うわけだ。

けれどこの列車に乗る倍率は非常に高く、なかなかチケットが取れないとか。
お金持ちのお金の使い方や価値観に文句をつけるつもりはないが(あら、つけてるのかしらん)貧富の二極化が進んでいる現実をこんな形で思い知らされると私はにわかに不安になる。
我々庶民の僻み、妬み、嫉み等の負のエネルギーがどこに向かうかわからないからだ。

平和と安定というものは金持ちは金持ちのまま、貧乏人は貧乏人のままだと言うことでもある。
とりあえず今の平和は絶対的に金持ちに、より有利だ。
おそらく金持ちの所有物になるに違いない「走るホテル豪華列車」のレールはループになっているんだろう。
そんな気がする。

ぐる、ぐるぐる…
それが悪循環ゆえの軋む音だという事に、誰か早く気がついてくれ！