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2017年03月11日22:21

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Retros on Weekends(09)

(8)Dmitij Baibikov(Championnat de France Retro, RIFACE 2015)
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駒取りの順序と場所を全て確定させよ(12+9)

 白Bd5が成駒であることを考慮すると、なくなった駒は白がQRRBの4枚で、黒はQBSSPPPの7枚。白Ph7はc2から来たものだから、これと白Pc4の2枚だけで6枚駒取りをしていることが分かる。すると成ったのはa筋の白Pだ。城に残された駒取りはあと1枚だけなので、この白Pが直進してa8でBに成る為にa-b筋の黒Pがcross captureしていることも判明した。
 では、この出題図からどのように逆算していけばよいか、考えてみよう。

 まず、黒の最終手が1.Bc8xb7+なのは明らか。では、黒Bは何を取ったのだろうか?すぐに思いつくのは白Rだが、これだと黒Kをa8から解放できない。また、Bだとすると成駒が多過ぎてillegal。従って、消去法から白Qに決定する。するとこの白Qもまた駒取りをした筈である。この時点で白の駒取りは7枚ちょうどになり、白Ph6は直進する他なくなるので、黒Ph5はこの場所で駒取りをしていることが分かる。これで双方とも駒取りは尽きている。
 白Qが取った駒が黒Qであることは、1.Bc8xQb7 Qc6xQb7 2.Pg6xRh5 Qb5-c6 3.Qc6-b7...と逆算してみれば明らかであろう。つまり、黒Bf8を戻す迄Pg7-g6とはできないので、黒Q以外だと2...Qb5-c6の瞬間、黒がretro-stalemateに陥ってしまうのだ。

(図1)
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 更に分析を進めよう。白Ph7による駒取りは全て白枡であり、黒Bf8を取った白駒はPc4しかない。これをPb2xBc3と戻す前に白Bc1も戻さなくてはならない。そして、この白Bが取られた場所はb6である。以上より、上図からの逆算手順が完全に決定できる。それは次のようなものだ。

(1)白Bd5をa8に持っていって成りを戻す
(2)Pb7xRa6と戻してから、Pa6-a7
(3)Pa7xBb6と戻す
(4)白Bをc1に戻してから、Pb2xBc3
(5)黒Bをf8に戻す
(6)Pg7-g6と戻してから、Pc2xPd3xSe4xPf5xSg6xPg7

 これで、双方の駒取りが全て判明した。Q.E.D.

 全部で11枚もの駒取りの順序と場所が全て確定する。CHAMPIONNAT DE FRANCEの結果稿によると、これは最高記録なのだそうだ。飛躍した発想こそないものの、解後感はかなり良いのではないだろうか。

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(9)Gianni Donati(Thema Danicum 121, 01/2006)
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Proof Game in 24.0 moves(12+16)
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