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2017年02月16日11:39

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もう『フランダースの犬』では涙を流すまい

人生で一番泣いたアニメ映画ランキング
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=45&from=diary&id=4433284

 「人生で一番泣いたアニメ映画」という括りなのに、4位に『フランダースの犬』がランクインしているのを見て、こいつらどんだけアニメを観てないんだと思った。
 この『フランダースの犬』というのは、「テレビアニメシリーズ」のことだろう。日本アニメーション制作の、「世界名作劇場」まの第1作で、再放送の数も多い。劇場版もあるが、こちらは全くヒットしなかったから、アンケートに答えた人たちが観ていたとは思えない。なぜ「映画」限定なのに、「テレビ作品」を挙げるのか? 要するに、ろくにアニメ映画なんて観たことがないからだ。
 さらに疑わしいのは、一年間放送された『フランダースの犬』を、彼ら彼女らがちゃんと全話、あるいは大半を観た上で感動したと言っているのかってことである。下手をしたら、アニメの特番の涙の感動シーン特集とかで、最終回の数分を観ただけで泣いた、なんて手合いの方が多いんじゃないかという気がしてくる。映画やアニメをバカにするのも大概にせい、と言いたくなる。本人たちは何も考えてないだけで、アニメをバカにしている気なんてないんだろうけれど。

 こういうやつらに「映画はちゃんと観た上で感想を言おう」と言ったところで、何言ってのこいつ、と思われるだけなので、正直、関わり合いにならない方が無難ではあるのだ。ところが、「映画ファン」を自称する人たちに、案外、こういう「ろくに作品を観てもいないのにモノだけ言いたがる」連中が多いのである。なんかもう、「人生で一番泣けた映画って何ですか?」とか、この記事のタイトルみたいなことをこちらに聞いてくることがあるので、「んな阿呆なこと聞いてくるならシバキ挙げるぞコラ」ってオーラを醸しだそうと試みるのだが、なかなか効果が上がらない。
 そんなに映画を観ながら泣きたいなら、タマネギ刻みながら観やがれ。

 私は犬好きで、犬が死ぬ映画なら、どんな駄作だろうと泣いてしまうので、もちろん『フランダースの犬』にも号泣した過去がある。しかしそれが単なる条件反射で、映画の出来とは無関係、ということは重々承知している。
 「お涙頂戴」が批判されるのは、映画は「客を泣かせる」ためにあるものではないからだ。「泣かせる」ことを価値判断の基準に置く連中は、たいてい、「笑わせること」「怖がらせること」「驚かせること」などを見下している。コメディやホラーやスリラーは、感動大作よりもくだらない、という偏見だ。それは映画を観ているように見えて、実は「感動している自分」の価値を高めるために映画を利用しているに過ぎない。
 もうこんなアンケートがあっても、無視しちゃえばいいのにと思うのだが、定期的に行われて、また嬉々として『フランダースの犬』が…と語り出すやつが後を絶たない。みんな、自分を「いいひと」に見せたいのだ。誰かのために涙を流せる人が、必ずしも善人ではないという現実を我々はもうちょっと自覚的に知る必要があるのではないか。むしろ彼らの中にこそ、他人を蔑む歪んだ精神の持ち主が腐るほどいることを認識していった方がいいと思う。
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