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2016年06月30日22:39

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楽しいレトロプロブレム(28)

(59)Michel Caillaud(Europe Echecs 295, 07/1983)
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Proof Game in 35.5 moves(13+12)

 なくなった駒は白がP3枚で、黒はP4枚。白側の駒取りは4枚ともPによるもので、これらはすべてe-h筋で起きている。ところが黒のなくなったPはどれもはa-d筋のもの。これより、黒Pは4枚とも成っていることが分かる。
 次に手数計算をしてみよう。黒の盤面配置を作るには11手かかる。すると黒に残された手数は35-11=24手。4枚とも成るだけで20手かかるから、黒には初形で配置されていた駒を捨ててから成るだけの余裕はない。つまり、黒Pはいずれも成ってから1手だけ動いて白Pに取られているのだ!ここまで分かれば、黒Pがa1とc1で2枚ずつBに成っていることも自然に見えて来るだろう。
 白の盤面配置を作るには最低でも28手かかり(黒Qが直進しているので、白Qは2手かかる。また白Kは0-0-0の後1手動いている)、b筋の白PをQに成ってg6に捨てるのにも7手かかるから、これで35手。白にも殆ど余裕はない。白のcastlingは黒Pがc1で成った後であり、成Bを移動させるためにd筋の白Pは動かなくてはならないが、double stepすると今度はa1で生じた成Bを取れなくなってしまう。よってこの白Pはsingle stepしており、白の手数もこれでちょうどになった。
 後は黒Pを動かす順番だが、白の序がRh1→c4としてからBf1-g2-c6-a4であることが分かれば道が拓けてくる。黒はc筋→b筋→a筋→d筋の順にPを動かすことになる(それぞれの意味付けは各自御確認下さい)。その後の手順も、相互の因果関係が巧妙に仕組まれていて、実に見事なものだ。作意順は以下の通り。

1.h4 c5 2.h5 c4 3.Rh4 c3 4.Rc4 b5 5.g4 b4 6.Bg2 b3 7.Bc6 xa2 8.b4 a5 9.b5 a4 10.b6 a3 11.Ba4 Sc6 12.b7 d5 13.b8=Q d4 14.Qd6 d3 15.Qg6 xc2 16.d3 fxg6 17.Bd2 c1=B 18.Qb3 c2 19.Ba5 Bh6 20.Sd2 c1=B21.Sf1 Bg5 22.f4 Kf7 23.0-0-0 a1=B 24.xg5 a2 25.xh6 Kf6 26.Sh2 Kg5 27.Rf1 Bf6 28.Rf4 a1=B 29.Kb1 Be5 30.d4 Bb7 31.xe5 Qd2 32.xf6 Re8 33.f7 Sf6 34.Qd3 Sf7 35.Bd1 Sdb8 36.Sgf3+

 勿論テーマは黒BのCeriani-Frolkin4連発!白QのCeriani-Frolkinも加え、将棋流に数えると70手以上にもなる長丁場を破綻なくまとめ上げた技量は素晴らしい。Caillaudの初期の代表作の一つだと思う。

(61)橋本 哲(Probleemblad 7-8/1999)
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Proof Game in 18.0 moves(14+15)
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