今日読んでいるのは、カピタン6号の詰将棋コーナー。詰将棋コーナーといっても、勿論普通の詰将棋ではなくフェアリー詰将棋なのですが、歴史的なことも含め、なかなか興味深い内容になっている。早速紹介しよう。
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フェアリー詰将棋にはどんな分野があるのか、今までにどんな作品が発表されているか、紹介してほしいという希望が多いようです。そこで今回から、代表的なものから順にそのルールを解説していこうと思います。
まずフェアリー詰将棋とは何なのか。普通の詰将棋を分析してみると、普通の盤と駒を使い、普通の将棋のルールにしたがって、与えられた局面から、先手は王手の連続で、後手は最長になるよう応手して、後手の玉の詰に至る手順を求めるパズルである、といえるでしょう。これらのいずれかの点を変化させ、あるいは条件を追加したものがフェアリー詰将棋なのです。
(フェアリーfairyとは、おとぎの、妖精の、という意味。変則チェスをfairy chessと呼ぶところから門脇芳桂氏が命名しました。訳せば幻想詰将棋というところ)
その代表は何といってもばか詰でしょう。昭和36年8月詰パラでS・オギノ氏が提唱され、その当時は原始的な作品ばかりで忘れ去られたかに見えましたが、45年2月の中出慶一氏の紹介をきっかけに各氏が創作をはじめ、46年11月、ついに花沢正純氏の担当で「ばか詰教室」が誕生しました(現在の「フェアリー詰将棋研究室」)。それ以来毎年数十局の作品が発表され、おもしろい作、高度な作が続々と登場し、「ばか詰、ばかにならず」といわれるように最も発展した分野になりました。
ばか詰のルールは先手、後手協力して(王手の連続で)最短手数で詰めるということ。あとは普通の詰将棋と同じです。作品規定として最短手順が二通り以上あるもの、最短手順では詰上りに駒が余るものは不完全です(長編では本質的ではない手順前後や非限定はキズとして処理し、完全扱いすることが多い)。
簡単なルールなので、他の変則ルールと組合わせたり条件をつけたりした作品(安南ばか詰など)も多いのですが、後ほど取り上げることにしましょう。
次に典型的なばか詰をいくつかあげてみましょう。(解答は省略します)
(1)凡骨生
(詰パラ 昭和37年1月号)
初期のばか詰
(2)花沢正純
(詰パラ 昭和46年12月号)
ばか詰教室・初出題
(3)大和敏雄
(詰パラ 昭和47年4月号)
線駒もののハシリ
このころは主に短編でいろいろな手筋が開発された
(4)森 茂
(詰パラ 昭和48年1月号)
パズル的問題
(5)森 茂
(詰パラ 昭和48年4月号)
ばか詰らしい趣向詰
(6)花沢正純
(詰パラ 昭和50年4月号)
飛角図式の好作
はじめてこれらの作品を見た方はぜひ詰めてみて下さい。これだけではばか詰の魅力のほんの一端を紹介したにすぎませんが、ばか詰のユーモア、おもしろさを少しでも感じていただけたでしょうか。
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ちなみに、解答は以下の通り。
(1)93角、57飛、同角成、49玉、39飛迄5手詰。
(2)91飛、同角、22金迄3手詰。
(3)34角、38玉、89角、49玉、67角迄5手詰。
(4)23銀右生、13玉、14銀引生、22玉、33銀生、12玉、23銀生、13玉、14銀行迄9手詰。
(5)26角、28玉、17角、同玉、35角、26角、同角、28玉、17角、同玉、
「44角、35歩、同角、26角、同角、28玉、17角、同玉」×13
44角、35歩、同角、26角、同角、28玉、39角、同玉、17角、28角、同角、38玉、
39歩、同と、49角、同玉、59金、48玉、49金、28玉、39金、18玉、29金、17玉、
28金、同玉、
『29歩、38玉、39歩…79歩、89玉、99金、79玉、89金…39金、18玉、28金、同玉』
『29歩、38玉、39歩…89歩、97玉、99香、98金、同香、同玉、88金、99玉、98金、
89玉、88金…38金、29玉』
28金、39玉、38金、49玉、48金、39玉、49金、28玉、29歩、同成香、39金、18玉、
29金、17玉、18香迄217手詰。
(6)63龍左、55玉、52龍右、44玉、43龍左迄5手詰。
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