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2015年11月08日16:31

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カメラつれづれ2

 学研ピンホールや Konstruktor のことを考えていたらどことなく既視感を覚えたので、手持ちのカメラ雑誌を片っ端からあたってみた。すると朝日ソノラマの「季刊カメラレビューNo.10」(1980年発行)に記事があった。 「 Science Fun experiments in OPTICS」 輸入元株式会社光洋 9000円。大型のプラモデルくらいの箱に入った光学実験セットで、レンズやミラーの実験のあとに一眼レフカメラを作ることが出来るらしい。5ページに渡って製作、試写の記事が乗っている。以下記事から拾ったカメラの概要:

135フィルム使用、撮影サイズ 21.5x21.5 ミリのミラーシャッター式一眼レフ。シャッターはインスタントとバルブの切り替え。レンズは 71.4mm F5.6 の色消しレンズで、F22まで設定可能な光彩絞りとピント調節機構を持つ。ファインダーはコンデンサレンズとルーペの付いたウェストレベル。フィルムカウンター、三脚穴付き。

 Konstruktor は世界初の一眼レフ組み立てキットとなっているが、こちらはミラーボックスまで組み立て式で、本格的な2枚構成のレンズと4枚羽根絞りまで付いている。ただあくまで光学実験キットなので、カメラキットとしては Konstruktor が初なのかも知れない。カメラの組み立ては困難を極めたようで、制作記事ではシャッター組み立てに失敗してバルブ専用になっていた。実際にこれを買ったアメリカの子供の何割がカメラを完成させられたかは疑問である。このキットのことをネットで調べてもそれらしいものが出て来ない。一番近いのは http://www.samstoybox.com/toys/Optics.html ではないかと思う。カメラレビューで扱ったのはこれの改良版かな?

 カメラレビューという本は、なんだか中途半端な本だった。表紙とカラーページはとても綺麗だが後半のモノクロページの印刷の質が悪く、「見たいところが良く見えない」ビ○本のような本だった。特に月刊化してからは記事の内容も薄くなって行き、だんだん買わなくなっていた。面白いところを狙っていたのに編集もライターもなんだか不慣れで、いっそ「写真工業」の方が私の好みだった。今はクラシック専科という形に変わったのかな? まぁ本や雑誌を買う時は出版社をチェックせんとだな。

 1980年代は写真文化の爛熟期で、それまで朝カメ、日カメ、カメ毎、あとはフォトコンくらいに目を通せば十分だったのに、カメラマン、キャパ、そしてフライデー、写楽、写真時代と、「写真」や「カメラ」を趣味とする者が気にしなければならない雑誌がこれでもかと創刊された。カメラも高性能化が一段落して、写るんです の登場、PENTAX や Nikon がコンパクトカメラを発売、0円プリント、カメラ安売り店、ディスクカメラ、etc, etc... デジタル化前夜のあだ花みたいなカメラがあちこちに溢れた。もちろん AF の実用化などのトピックもあったが、私はこの時期にカメラに興味を無くして写真を撮らなくなっていた。カメ毎の自爆もバブルらしいと言えばらしい。その後の共産国カメラやトイカメブームも素通り。

 今になっておもちゃのようなカメラに惹かれるのは何だろうと考えるに、例えばヒマラヤ無酸素単独登頂に挑むような、と言ったら余りにも不釣り合いだが、要するに「一生懸命な」カメラに面白さを感じるのだろうと思う。生産技術や素材の発達で出来た「ソコソコのモノ」はやっぱりつまらない。頑張って安く、頑張って小さく、頑張って高性能に、そして頑張った結果ヘンなものになってしまうと、そこがたまらなく愛しい。中華は頑張る方向が可愛くないしロシアンは頑張ってない。これらは言わば「ゆるカメ」であって、それは私の愛する「ヘンなカメラ」たちとは少しベクトルが異なる。もしかしたら子供の大好きな「はたらくじどうしゃ」の延長上かも知れない。軽トラをベースにした軽ダンプというのがある。あれっていいよね(笑) そゆ感じ。
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