mixiユーザー(id:62927979)
2015年10月24日10:51
830 view
地球を破壊する簡単な方法
こんな記事を見た（「夢十夜」風）。
地球を破壊できるサイズの隕石かどうかを計算できる「Impact: Earth!」
http://
これを見て、ずっと前に似たような計算をしたことを思い出した。その時は結論が正しいのかどうか確かめる術がなくて、隔靴掻痒の思いがしたものだ。しかしこんなサイトがあるなら答え合わせができるではないか。これは助かる！
というわけで、この機会に以前の計算をやり直して、一通りの結論を出しておくことにした。
地球を破壊する天体衝突のエネルギー：
まず、地球を同心球のタマネギ状と考える。天体破壊のプロセスは非常に複雑だろうが、ここではエネルギー保存則だけで答が出るように単純化して考える。
すなわち、天体衝突のエネルギーで、まず一番外側のタマネギの皮が脱出速度を獲得して吹き飛ぶ。それによってすぐ下の層がむき出しになって、また脱出速度を得て吹き飛ぶ、とする。このプロセスを地球の中心まで繰り返せば地球が完全に破壊されるわけだ。
さらに単純化して、地球の密度を中心まで一定とする。地球の半径をR、平均密度をρ、タマネギの皮の厚みをdrとすると、一番外側の皮の表面積は4πR^2なので、体積は4πR^2 dr、質量は4πR^2 drρとなる。
最外層が宇宙に飛び散った時、この飛散した層全体の持つ運動エネルギーを求めると、
となる。ｖは脱出速度である。問題を簡単にするため、第二宇宙速度としておこう。第一宇宙速度にすると、吹き飛んだ層が地球の周りを回ることになるので結果に影響してきそうな気がするからだ。面倒を起こしそうなものは遠ざけておくに限る。
さて表面の層が衝突によってはぎとられると、その分だけ地球の質量が小さくなる。すると、内側の層の脱出速度はわずかに小さくなる。つまりｖがｒの関数になるわけだ。したがって任意の層の持つ運動エネルギーは、
と表される。これを地球の中心から半径Rまで積分すれば、地球の全質量が脱出速度を獲得するのに必要な運動エネルギー
が得られる。
次に第二宇宙速度ｖ(ｒ)の関数形を求めてみよう。普通の第二宇宙速度は、
でいいが、今考えている問題では、半径ｒについて積分しなければならない。半径が小さくなれば質量も小さくなるので、質量Mもｒの関数になる。地球の密度を一定と仮定したので、いうまでもなく、
である。これを脱出速度の式に代入すると、
これを最初の積分に代入すると、
となり、積分すれば、
が得られる。ごくおおざっぱな計算だから、
としてしまってかまわないだろう。
よって、
となる。
このエネルギーから衝突天体のサイズを求めるには、運動エネルギーの式(mv^2)/2に代入して、まず質量を求める。さらに天体の密度（地球の密度と区別してρpとする）を与えれば体積が決まって半径も決まる。その結果は、
となる。
最後の式をもう少し簡単にしてみよう。定数と変数に分けて整理すると、
となる。ここで定数を数字に変えておけばいいわけだが、いちいち立方根を取るのが面倒だし、計算誤差も生じやすい。ｒ^3の形で式を与えておいた方がいいだろう。
地球の半径と密度以外の定数をかけると、
となる。
この式を使えば、地球に限らず任意の地球型惑星を破壊する天体衝突の規模が分かるはずだ。（スペースオペラを書くときに使えそう）
しかし今は地球に限って考えるので、さらに式を簡単にしよう。R＝6.37×10^6ｍとすると、
が得られた。
これでようやく具体的に計算できるところまできた。地球の密度は5.5ｇ/��^3である。衝突天体の密度は平均的な石質隕石に合わせて3.0ｇ/��^3とし、速度も平均的な隕石の衝突速度として2×10^4m/sとすれば、
最後に三乗根をとると、
というわけで半径約440�劼判个拭�
これは想像していたより小さいが、全く理屈に合わない大きさでもないように思う。
一昔前、ＮＨＫの「地球大進化」で直径400�辧△垢覆錣組招�200�劼両�惑星が秒速20�劼巴狼紊望彳佑垢襪箸いΕ轡潺絅譟璽轡腑鷄覗�を見たが、実に印象的だったものだ。直径数千キロのクレーターができ、日本列島は地殻津波でめくれ上がって消滅し、クレーターから発生した岩石蒸気が全世界を覆って海が全て蒸発する、とまあこういったものだった。
今回はその2倍以上、直径約900�劼療径両彳佑任△襦�これは月の三分の一のサイズになる。実在の天体でいうと準惑星ケレスよりいくらか小さいくらいだ（ただしケレスの密度は2.05しかなく、岩と氷が混じった構造と考えられている。同じ条件でケレスが衝突した場合は、破壊の規模はこれより小さくなるだろう）。
「地球大進化」と天体の密度と速度がだいたい同じだから、衝突エネルギーは8倍以上になる、おおよそ一桁上のエネルギーになると見ていいだろう。これなら全海洋蒸発より少々破壊の規模が大きくなる（控えめな表現）のは当然だ。
ＮＨＫ出版の『地球大進化１』p75には、「実験の経験からいうと、クレーターの直径は隕石直径の10倍」とある。また、どの天体も最大のクレーターは天体直径の３分の１程度だそうだ。それより大きなクレーターがないのは、それ以上の規模の衝突では天体が破壊されることを意味しているらしい。とすれば地球上に可能なクレーターの最大径は4250�劼砲覆蝓△修譴鮑遒訃彳妖径里猟招造鰐�400�劼箸覆襪錣韻世�ら、「地球大進化」の小惑星は、地球が破壊されないぎりぎり上限近い大きさということになりそうだ。
だとしたらその2倍のサイズ、エネルギー約10倍の衝突で地球が破壊されるのは理に適っているように思われる。しかしここまでは問題を非常に単純化して考えてきたから、正直いって結論はあてにならない。専門家は当然、はるかに精密なプロセスを考えてシミュレートしているだろう。
それでは、計算結果をImpact:Earth!のサイトに当てはめて妥当性をチェックしてみよう……と思ったのだが、どういうわけか問題のサイトがひどく重い。いつまでたってもロード画面のままで、さっぱりサイトが開けない。
これではしょうがないので、とりあえず答え合わせは後にしよう。＿|￣|○
地球を破壊できるサイズの隕石かどうかを計算できる「Impact: Earth!」
http://
これを見て、ずっと前に似たような計算をしたことを思い出した。その時は結論が正しいのかどうか確かめる術がなくて、隔靴掻痒の思いがしたものだ。しかしこんなサイトがあるなら答え合わせができるではないか。これは助かる！
というわけで、この機会に以前の計算をやり直して、一通りの結論を出しておくことにした。
地球を破壊する天体衝突のエネルギー：
まず、地球を同心球のタマネギ状と考える。天体破壊のプロセスは非常に複雑だろうが、ここではエネルギー保存則だけで答が出るように単純化して考える。
すなわち、天体衝突のエネルギーで、まず一番外側のタマネギの皮が脱出速度を獲得して吹き飛ぶ。それによってすぐ下の層がむき出しになって、また脱出速度を得て吹き飛ぶ、とする。このプロセスを地球の中心まで繰り返せば地球が完全に破壊されるわけだ。
さらに単純化して、地球の密度を中心まで一定とする。地球の半径をR、平均密度をρ、タマネギの皮の厚みをdrとすると、一番外側の皮の表面積は4πR^2なので、体積は4πR^2 dr、質量は4πR^2 drρとなる。
最外層が宇宙に飛び散った時、この飛散した層全体の持つ運動エネルギーを求めると、
となる。ｖは脱出速度である。問題を簡単にするため、第二宇宙速度としておこう。第一宇宙速度にすると、吹き飛んだ層が地球の周りを回ることになるので結果に影響してきそうな気がするからだ。面倒を起こしそうなものは遠ざけておくに限る。
さて表面の層が衝突によってはぎとられると、その分だけ地球の質量が小さくなる。すると、内側の層の脱出速度はわずかに小さくなる。つまりｖがｒの関数になるわけだ。したがって任意の層の持つ運動エネルギーは、
と表される。これを地球の中心から半径Rまで積分すれば、地球の全質量が脱出速度を獲得するのに必要な運動エネルギー
が得られる。
次に第二宇宙速度ｖ(ｒ)の関数形を求めてみよう。普通の第二宇宙速度は、
でいいが、今考えている問題では、半径ｒについて積分しなければならない。半径が小さくなれば質量も小さくなるので、質量Mもｒの関数になる。地球の密度を一定と仮定したので、いうまでもなく、
である。これを脱出速度の式に代入すると、
これを最初の積分に代入すると、
となり、積分すれば、
が得られる。ごくおおざっぱな計算だから、
としてしまってかまわないだろう。
よって、
となる。
このエネルギーから衝突天体のサイズを求めるには、運動エネルギーの式(mv^2)/2に代入して、まず質量を求める。さらに天体の密度（地球の密度と区別してρpとする）を与えれば体積が決まって半径も決まる。その結果は、
となる。
最後の式をもう少し簡単にしてみよう。定数と変数に分けて整理すると、
となる。ここで定数を数字に変えておけばいいわけだが、いちいち立方根を取るのが面倒だし、計算誤差も生じやすい。ｒ^3の形で式を与えておいた方がいいだろう。
地球の半径と密度以外の定数をかけると、
となる。
この式を使えば、地球に限らず任意の地球型惑星を破壊する天体衝突の規模が分かるはずだ。（スペースオペラを書くときに使えそう）
しかし今は地球に限って考えるので、さらに式を簡単にしよう。R＝6.37×10^6ｍとすると、
が得られた。
これでようやく具体的に計算できるところまできた。地球の密度は5.5ｇ/��^3である。衝突天体の密度は平均的な石質隕石に合わせて3.0ｇ/��^3とし、速度も平均的な隕石の衝突速度として2×10^4m/sとすれば、
最後に三乗根をとると、
というわけで半径約440�劼判个拭�
これは想像していたより小さいが、全く理屈に合わない大きさでもないように思う。
一昔前、ＮＨＫの「地球大進化」で直径400�辧△垢覆錣組招�200�劼両�惑星が秒速20�劼巴狼紊望彳佑垢襪箸いΕ轡潺絅譟璽轡腑鷄覗�を見たが、実に印象的だったものだ。直径数千キロのクレーターができ、日本列島は地殻津波でめくれ上がって消滅し、クレーターから発生した岩石蒸気が全世界を覆って海が全て蒸発する、とまあこういったものだった。
今回はその2倍以上、直径約900�劼療径両彳佑任△襦�これは月の三分の一のサイズになる。実在の天体でいうと準惑星ケレスよりいくらか小さいくらいだ（ただしケレスの密度は2.05しかなく、岩と氷が混じった構造と考えられている。同じ条件でケレスが衝突した場合は、破壊の規模はこれより小さくなるだろう）。
「地球大進化」と天体の密度と速度がだいたい同じだから、衝突エネルギーは8倍以上になる、おおよそ一桁上のエネルギーになると見ていいだろう。これなら全海洋蒸発より少々破壊の規模が大きくなる（控えめな表現）のは当然だ。
ＮＨＫ出版の『地球大進化１』p75には、「実験の経験からいうと、クレーターの直径は隕石直径の10倍」とある。また、どの天体も最大のクレーターは天体直径の３分の１程度だそうだ。それより大きなクレーターがないのは、それ以上の規模の衝突では天体が破壊されることを意味しているらしい。とすれば地球上に可能なクレーターの最大径は4250�劼砲覆蝓△修譴鮑遒訃彳妖径里猟招造鰐�400�劼箸覆襪錣韻世�ら、「地球大進化」の小惑星は、地球が破壊されないぎりぎり上限近い大きさということになりそうだ。
だとしたらその2倍のサイズ、エネルギー約10倍の衝突で地球が破壊されるのは理に適っているように思われる。しかしここまでは問題を非常に単純化して考えてきたから、正直いって結論はあてにならない。専門家は当然、はるかに精密なプロセスを考えてシミュレートしているだろう。
それでは、計算結果をImpact:Earth!のサイトに当てはめて妥当性をチェックしてみよう……と思ったのだが、どういうわけか問題のサイトがひどく重い。いつまでたってもロード画面のままで、さっぱりサイトが開けない。
これではしょうがないので、とりあえず答え合わせは後にしよう。＿|￣|○
0
0
ログインしてコメントを確認・投稿する