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2015年09月21日23:04

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ウルトラセブンの身分についての一仮説

以下は元々マイミクの羚羊亭佗助さんの日記

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946226314&owner_id=2790595

のコメント欄に書いたものである。

コメント欄の佗助さんと 塩田多弾砲さんの議論に刺激されて書いたのですが、調子に乗って長く書きすぎたのと元の日記の論旨から離れすぎたので、反省して削除し、改めて自分の日記に上げ直すことにいたしました。_| ̄|○

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お二人の考察を興味深く拝見しました。
しかし多少の異論も感じましたので、私の考えも述べてみたいと思います。お二人のご意見と重複する部分もありますが、論旨の都合上お許しください。

まず、恒点観測員が非軍事組織に属しているという主張ですが、私はむしろ軍事組織なのではないかと思います。

というのは、歴史的に測量や観測は軍隊の職務となっていたからです。測量が陸軍の重要な活動だったことはもちろんですが、天体観測も海軍の基本的な業務でした。航海術には精密な天体観測が必要で、そのための天体暦を作成するのは海軍の仕事でした。例えば火星の衛星を発見したエイサフ・ホールはアメリカ海軍天文台の職員でした。

また、セブンはなぜあのように強力な武装をしていたのでしょうか。非戦闘員が護身用に武装していたのであれば、さまざまな好戦的宇宙人をことごとく撃退するほど強力な装備は必要ないはずです。非戦闘員にとって最大の自衛は逃げることであり、そのための必要最小限の武装があればいいからです。
よって兵士としての装備だったと考えるのが最も合理的です。

そう仮定すると、セブンの境遇についても新たな光を当てることができます。軍人というものは基本的に単独行動することはありません。恒点観測員の業務を行うに当たっても、同僚とチームを組んで活動するのが普通ではないでしょうか。(たとえその職務が「カモフラージュ」であったとしてもです)

では、なぜセブンはたった一人で戦い続け、本国にも、所属する恒点観測機関にも援助を求めなかったのでしょうか。
私はセブンが「脱走兵」だったのではないかと考えます。

なぜなら、組織に属したまま現地駐在員として住み着いたのであれば、戦いにおいて必ず本国からの支援が得られたはずです。もし塩田さんがお考えのような身分を隠した秘密工作員だったとしても、いやそれならなおのこと、支援要員がいるはずではないでしょうか。
では、現地除隊した民間人なのでしょうか。だとすれば武装を持ったままであるはずがありません。仮にエメリウム光線やワイドショットが光線技、すなわち「体術」(笑)であったとしても、アイスラッガーは明らかに「武器」であり、しかもセブンの最強の武器ですらあります。セブンが民間人だとすれば、兵士が自動小銃を持ったまま退役するようなもので、全く不自然です。

この不自然さと、彼が常に単独行動し、決して同胞の援助を求めなかったこと、さらには地球人に対しても正体を隠し続けたことを説明できる最も単純な仮説は、セブンが武器を持ったまま脱走した兵士だということです。
セブンが「犯罪者」だったとすれば、彼の不自然な行動の全てに説明がつきます

ではなぜセブンは地球に住み着いたのでしょう。地球が美しかったから? 確かにそれもあるでしょう。
しかし最も重要な理由は、本国の追求の手が伸びにくい僻地だったからではないでしょうか。
セブンが単に地球が好きで住み着きたかっただけなら、堂々と身分を明かした上で現地の政府に移住の許可を求めればいいわけで、わざわざ地球人に変装し身分を偽って隠れ住む必要などありません。
彼が正体を隠した最大の理由は、本国の追求の手を逃れるためではないでしょうか。


だとすると、地球の宇宙際政治的な立場についても、新たな解釈が可能になります。

そもそも、ウルトラマン及びセブンの最終回を見ると、共通する不思議な点があります。
ゾフィーもセブンの上司も、ウルトラマンやセブンに「帰ってこい」と言うばかりで、その後地球がどうなるか全く問題にする様子がありません。地球防衛に彼らの存在が必要不可欠なことは明らかなので、たとえ帰還を促すとしても、交代要員が来ると告げることくらいできるのではないでしょうか。そうすればウルトラマンもセブンも安心して故郷に帰れるはずです。しかし二人の上司はどちらも、地球を守ることには全く関心を持っていないようにさえ見えます。

現に、セブンはウルトラマンの後任として地球に来たわけでも何でもなく、本人によれば自分の意志で地球に来てそのままとどまったわけですから、光の国はウルトラマンの交代要員など全く用意していなかったし、最初からそのつもりもなかったことが分かります。

つまり光の国にとって地球は「守るべき場所」でも何でもなかったことになります。

ではどんな場所なのか。光の国の勢力圏でもなく、好戦的な宇宙人の勢力圏でもありません。もしどこかの宇宙列強の勢力圏だったとすれば、地球はとっくに征服されているはずです。しかしほとんどの宇宙人は、隠密裏に地球にやってきて、密かに侵略しようとします。
このことから、地球は大国の勢力圏の間に挟まれた非武装中立地帯に位置していたのではないかと考えられます。おそらくカシミール地方のような立場にあったのではないでしょうか。
軍事バランス上、列強が表立って活動できない場所だったからこそ、セブンが潜伏先に選んだのだと思います。

ところが、宇宙の軍事バランスが何らかの理由で崩れた結果として、クール星人が大規模な侵略を開始したために、セブンは自分の安住の地を守るために、やむを得ず姿を表して戦わざるを得なくなりました。
こうして地球人の前に姿をさらした以上は、もはや身分を偽る理由などなくなってしまったわけですから、モロボシダン=ウルトラセブンの正体を明かしてもよかったはずです。彼がそうせずに相変わらず地球人になりすまし続ける道を選んだのは、いつ本国の司直の手が伸びても、すぐに逃げ出すことができるようにするためだったと考えれば理解できます。

さて、このようなセブンの活動を光の国はなぜ容認していたのか。明らかに、セブンの存在が光の国にとって都合が良かったからですね。そこから先の議論は、お二人の主張されるのと同じです。
つまりセブンの活動はあくまで彼個人が勝手にやっていることで、光の国には責任がない、そう主張することで、光の国は何のリスクも犯すことなく、地球に列強の影響が及ぶことを防ぐことができたわけです。

その後、光の国は方針を変え、地球を直接援助する政策をとるようになったものと思われます。あるいはく光の国が外交的手段で地球を信託統治下におくことに成功したのかもしれません。ウルトラ兄弟が定期的に地球に駐在するようになったのは、それ以降のことになります。

このような政策転換を背景にして、セブンの上司はようやくセブンに復帰を促すことができるようになったのであり、彼の立場は、小野田寛郎に帰国するよう説得した谷口義美氏と同じだったのではないでしょうか。


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