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2013年04月20日22:18

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ユジャ・ワン@彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場に来るのは久しぶり。
以前ここに来たのは、2009年の9月、三浦友理枝のリサイタルだった。もう大昔になるのだな

衝撃のピアニスト、ユジャ・ワン。日本での二度目のリサイタル・ツアー。
一昨年の紀尾井ホールでの衝撃も記憶に新しい。
今回はこのさいたまと明日のサントリーのチケットを取った。当初発表されたプログラムが異なっていたからだ。ところが、曲目変更をしやがった。なので、ほとんど同じプログラムになってしまった。まあ、いい。前科があるので想定範囲だ。
ただ、こういうやり方に批判の余地はあるだろう。

ユジャはその技巧ゆえに注目されていたという部分が大きい。確かに初めてTVで見たとき、プロコフィエフのコンチェルトだったのだが、豪快にケレン味なく弾く姿に爽快感を覚えた。正直なところ好きなタイプのピアニストではないはずなのだが、彼女には何か魅力を感じたのだ。

野生児のようなのだろうと思っていたら、実際はキュートでチャーミングな女の子。

01.スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番 嬰ト短調 作品19 『幻想ソナタ』
02.スクリャービン:ピアノ・ソナタ第6番 作品62
03.ラヴェル:ラ・ヴァルス
<休憩>
04.リーバーマン:ガーゴイル 作品29
05.ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 作品36 (1931年改定版)
<アンコール>
06.ラフマニノフ:エレジー 変ホ短調 作品3−1
07.シューベルト(リスト編):糸を紡ぐグレートヒェン D118
08.ビゼー(ホロヴィッツ編):カルメンの主題による変奏曲
09.ショパン:ワルツ第7番 嬰ハ短調 作品64−2

スクリャービンのソナタ中、2番は人気である。後期ロマン派的な情緒が残っているので、まだ聴きやすい。とはいえ、すでに独特の和音構成や技巧的な左手などスクリャービンらしい曲でもある。
ユジャは技巧派ではあるが音が綺麗なので、スクリャービンを弾くに相応しいピアニストである。なので極めて美しく弾く。妖しさには欠けるが清廉なスクリャービンである。まさに完璧。

もしこの曲がプログラミングされていなければ、今日のチケットを取ってはいなかっただろう。
それがスクリャービンの6番のソナタ。
最近はスクリャービンのソナタがプログラムに乗る機会も多くなっているが、6番は珍しい。もしかしたらこの6番こそが最高傑作なのではないか、と考えている。
破綻なく弾きこなすこと自体が大変な難曲を見事に弾いている。音の淀みもなく、この曲を楽しむには十分な演奏だったと思う。スクリャービン特有の官能性には欠けるものの、この曲を弾いてくれただけで十分である。余裕綽々の演奏だった。

ラヴェルの『ラ・ヴァルス』も難曲として知られる。
技巧派と呼ばれる人たちがこぞって取り上げる曲でもある。ケレン味なく弾ききる姿は爽快だ。
ステージ向かって右側の席だったので、左手を拳固にして叩くのは見られなかった。
技巧もここまで究めれば見事なものである。

後半はリーバーマンの『ガーゴイル』という曲から。
初めて聴く曲である。これはとってもおもしろい曲だ。現代曲という難しさはない。
まるでユジャのために書かれたような曲。

最後はラフマニノフ。
情緒云々より、疾走感で弾きこなす。なので改訂版は正解だったのかも。
オリジナル版よりラフマニノフ臭さというかくどさというか、そういう味には欠けるけれど、バリバリ弾きこなすにはこれで良かったのかもしれない。
ユジャは恐ろしい技巧の持ち主。余裕を持って弾いている。

さて、第3部(笑)はアンコール大会。
ここで初めて聴きやすい曲が並ぶ(苦笑)。
グレートヒェンがいいね。
エレジーも含めて、こういう情緒的な曲も上手く弾く。

カルメンも凄まじい。一昨年よりさらに白熱していた。爽快だ。気持ちいい。

クロージングにはどうかと思うが、ショパンのワルツもいい。タメを効かせた演奏だった。踊れないが、それでもいい。

そういえば、アンコールのカルメンの前に女子高生が入ってきた。
結局、その後のショパンの2曲しか聴けなかったわけだ。
制服だったから、学校の用事で遅くなってしまったのかもしれない。
終わっているかもしれない時間なのに来たということは熱心なファンだったろうに。可哀相だったな。

ちなみに今日のユジャは黒の超ミニのボディ・コンシャス。それにとっても高いピンヒール。
とてもじゃないがクラシックの奏者とは思えない。

さてと、明日もユジャ。
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