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日記一覧

 『私の歳時記』杉本秀太郎(1979年9月25日彌生書房)に「本の釣り」という文がある。≪七、八年の昔、本好きなあまりに証券会社を退職した人がある。烏丸光広の『仁勢物語』ふうにいえば、これは「おかし男」である。そして、こんにちいうところの「手作り

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さかのぼる
2015年05月30日07:03

 引き続きさかのぼって大江健三郎を読む。 『「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち』大江健三郎(昭和六十一年二月二十五日新潮文庫)。先日T書店の50円台から拾ってきた。≪僕はTさんが完成した「雨の木(レイン・ツリー)」を主題とした音楽を、初

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 27日に杉本秀太郎さんが亡くなられた。84歳。一度はお話を聞いてみたかった。ずいぶん前に隣の高槻市で杉本さんの講演会が開かれて、聞きに行こうとしたのに拠無い事情でかなわず、残念なことをしたといまも悔やんでいる。昨秋は山田稔さんのお話を聞くこと

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 『脈 84号』の「島尾敏雄 富士正晴」中尾務を読む。『舢板』連載の「加筆・訂正」とのことだったが、読みくらべると全面書き直しといって過言でないようだ。題に「一九四七―一九五○」とあるように、島尾と富士の出会いから島尾の『VIKING』脱退ま

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ドレのドン・キホーテ
2015年05月27日08:18

 大江健三郎の『晩年様式集』にこんな件がある。≪画面右半分を黒ぐろとした驢馬の頭が占め、それが見開いている大きな目には、むしろ人間的な感情があらわれている。驢馬の鼻面を抱きしめて涙を流している男は、この本に沢山ある挿画のサンチョ・パンサの、

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二月ぶり
2015年05月26日07:18

 先月は一度もT書店本店を覗かなかった。ということで行ってきた。 百円均一室から。 山田稔訳の『悪戯の愉しみ』は再版です。 谷崎の『三つ場合』にはこんな検印紙が。 もう一冊はワンコイン未満。 『小山内薫全集第八巻』(昭和七年九月二十五日春陽

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『脈 84号』
2015年05月25日07:39

 三月書房のブログでこの表紙を見て吃驚、「こりゃすぐに注文せにゃ」とメールを送ったのが金曜日で、届いたのが日曜日だった。 『脈 84号』特集「中尾務の島尾敏雄 富士正晴」(2015年5月20日脈発行所)。表紙の写真は昭和53年に産経新聞社が撮った富士

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春陽堂の文庫
2015年05月24日09:03

 ある文庫をさがしていて思ったのだが、 春陽堂が昭和初期に出していた文庫はじつによろしいなあ。とそれだけのことです。それと印刷者のお名前がすごい。

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ほりだす
2015年05月23日07:30

 『万延元年のフットボール』大江健三郎(昭和四十二年九月十二日講談社)装幀粟津潔。文字どおり本の山から掘りだしました。もう半世紀近くまえになるのですねえ。≪夜明けまえの暗闇に眼ざめながら、熱い「期待」の感覚をもとめて、辛い夢の気分の残ってい

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『晩年様式集』
2015年05月22日07:42

 こちらは先週古書会館で買いました。 『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』大江健三郎(2013年10月24日講談社)。小説ではこれが一番新しいのでしょうかね。 表紙の空押しは見たことがあります。 渡邊一夫『蜃気樓』(昭和22年9月30日鎌倉文庫)の

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 大江の小説にでてくるクラシックのCDがちょっとした楽しみだ。先日はブッシュカルテットのベートーベンの弦楽四重奏曲を見つけられなかった。でも、今回の『水死』に登場する長男「アカリが偏愛するピアニスト、グルダ」の演奏したベートーベンの「作品百十

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『水死』大江健三郎
2015年05月20日07:38

 図書館から『水死』(2009年12月17日講談社)を借りてきて読んでいる。 妻の言葉として、≪外国の版権からの収入も、文庫本の売れ行きも冷え込んでいるけれど、新聞にエッセイを連載しているのと、地味な場所にずっと考えてきたことを講演に行くと、記録を

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『大山定一』ほか
2015年05月19日07:33

 街の草で『文学雑誌』をみていたら店主からヨシダテイイチの名前がでた。テイイチといえば、と思い出してお願いすると、シャッターを上げて倉庫から「すぐに見つかることはめったにないですよ」と言いつつ出してくださった。 『大山定一』吉川幸次郎・富士

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『橋守』石塚友二
2015年05月18日07:19

 ひさしぶりに武庫川へ。何といってもこれが嬉しい。 『橋守』石塚友二(昭和二十三年九月五日改造社)装幀清水崑、裸本。石塚にこんな小説本があったのですね。『松風』からは表題作だけが再録され、外は未読の作品。値札を見るとサンボーホールの均一にも

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蝸牛
2015年05月17日07:06

 金曜日は大阪古書会館へ。図書館本で間にあわせている大江健三郎を二冊。次にT堺の船場店で200円均一から鈴木志郎康の詩集一冊と生方たつゑの文庫本歌集150円。帰りみちに天三のT書店に寄ったら新収本の棚に漱石の縮刷版が並んでいたので驚いた。どれも函付

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『桃次郎』阪田寛夫2
2015年05月16日07:20

 阪田寛夫のもう一冊の『桃次郎』はこちら。 『桃次郎』阪田寛夫(昭和五十年四月二十五日インタナル出版社)、装幀織茂恭子。阪田のラジオドラマや合唱曲などを集めた作品集で、「桃次郎の冒険」は「昭和四十八年劇団四季による日生名作劇場十周年記念公演

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「桃次郎・考」阪田寛夫
2015年05月15日07:31

 『我等のブルース』阪田寛夫(1975年4月15日新装版第1刷三一書房)に、「桃次郎・考」が収録されています。「再版あとがき」によると、《「月刊自動車労連」に連載した童話「桃次郎のおはなし」を改題》して入れたとあり、1969年の初版には入っていなかった

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『桃次郎』阪田寛夫
2015年05月14日08:38

 北村薫が取り上げていた阪田寛夫の短篇「桃次郎」を見つけました。 『桃次郎』阪田寛夫(一九九一年九月二○日楡出版)装幀は安西水丸。図書館にありました。 「夏休みのうちに桃次郎の話を書く」約束をしてしまったわたしは、「駅のきびだんごの売店で聞

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筑摩世界文学大系
2015年05月13日09:03

 この間読んできた大江健三郎の小説には、エリオットとともにイェイツもでてきて、こちらは詩集なども持っていないけど、一冊だけ文学全集本があることを憶えていた。それが、啄木の『小天地』をさがしているときに、埋れたなかから出て来た。 『筑摩世界文

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「かもめ来よ……」
2015年05月12日07:36

 『詩歌の待ち伏せ(上)』北村薫を読了。「下」と「続」もあるらしいから読んでみたい。 俳句のアンソロジイでこんな句にであったことが書いてある。   かもめ来よ天金の書をひらくたび              三橋敏雄 その本の≪鑑賞文には、天

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 四天王寺で手に入れた『詩歌(しいか)の待ち伏せ(上)』北村薫を読んでいます。≪わたしは、《ほしがれひをやくにほひがする ふるさとのさびしいひるめし時だ》と始まる、田中冬二の「ふるさとにて」には、中学生の時、実力テストで出会いました。その時

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『木洩れ日拾い』天野忠
2015年05月10日09:34

 血液検査の結果は微妙な数値、基準値をわずかに上回っていた。ということで28日分の薬を。そして朝の散歩再開、いまだ若干の違和感ありで通常の速さにならず徐行中。 『ぽかん05』の扉もいいですね。扉野良人さんの「父のチェーホフ(二)――1928年、湯浅

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弦楽四重奏曲op.132
2015年05月09日07:16

 『さようなら、私の本よ!』大江健三郎を読了。少々せわしすぎる読み方かもしれませんが、返却期限まで間がありますから『憂い顔の童子』から再読するつもりです。 三部作を続けて読んだ印象でいうと、最初の『取り替え子』が一番いいかなと思います。それ

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『リルケ』高安國世
2015年05月08日07:21

 報告しておきます。 ある本をさがしていたら目的の本は見つからずに、こちらがひょっこり顔をだした。 『リルケ』高安國世(昭和二十九年七月十日筑摩書房)。持っていたのですねえ。一昨日大江健三郎『さようなら、私の本よ!』にでてくる『エリオット』

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 四天王寺でもとめた一冊。 『英文学の風土』壽岳文章(昭和三十六年七月二十五日大修館書店)、装幀原弘、カヴァー絵はブレイク。献呈本である。 渡邊武とはどういう人か? 向日市立図書館に渡邊武氏の「椿コレクション」があるようで(http://www.libra

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『エリオット』深瀬基寛
2015年05月06日07:01

≪本にはダストカヴァーも掛っていたが、古義人はそれを外して、当時めずらしかった布の表紙をしげしげと見た。淡い緑色だったものが色褪せて、上のへりから茶色のしみが降りて来ている…… この本を古義人は大学生協の書店で十九歳の冬に買った。古義人は、

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 昨日は一日足に負担のないかたちで出かけていたので、朝から『憂い顔の童子』大江健三郎を読んでいたらおわってしまった。このさいだ!と借りてきた。 『さようなら、私の本よ!』大江健三郎(2005年9月29日講談社)。『取り替え子』、『憂い顔の童子』そ

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 「4月中予約特典二割引き」で悩みましたが、期限ぎりぎりの4月29日にメールで注文、昨日到着。 『書影の森 筑摩書房の装幀1940‐2014』(2015年5月3日みずのわ出版)。 この本の書影でうれしいのは、函やカバーなどの外装だけでなく本冊の姿も撮られて

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「Marilyn Reading Ulysses1952」
2015年05月03日06:46

≪古義人の膝もとへ指導者格の男が跪く。見おろすと、こちらの左足の靴と靴下を手慣れたやり方で脱がせている。マオカラ―の男の頸は老けて皺もめだつものの、よく見るとやはり二度の襲撃に加わっていた人間なのだ。男は観念してじっとしている古義人の左足頸

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『ぽかん05』
2015年05月02日06:42

 きのう用事がおわって家にもどったら『ぽかん05』が届いていた。 あわてて読んではいけないと思いつつ、本冊の編集後記をまず読む。 「人はこのように自分では意識しないうちに何回も同じ本を彼自身のプリズムを透して読み返すのではないだろうか。読み

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