かつて牧師だったゴドウィンの思想自体は経済学者でも活動家でもなかったことを反映して、今の目で見れば中途半端というか現実離れしたところの多々あるものでした。彼のイメージする富の分配とは当時は限られた人間しか知的活動に従事するための余暇を得ら
このような女流作者たちの作風と比べると『フランケンシュタイン』は極めて異色ですが、それには理由があって、メアリー・シェリーは実は無政府主義者にして『ケイレブ・ウィリアムス』の著者であるウィリアム・ゴドウィンの娘だったのです。 元来ゴシック
『フランケンシュタイン』が書かれたのがベートーヴェンの「第9」完成の少し前だったことに先日気づいて以来、両者の類似、ひいてはゴシックロマンスと交響曲がそれぞれ小説とクラシック音楽の分野にもたらした影響に思いをはせていました。この文はそのあた
第6章 沼地「つまりあなたがたは、ゼリアの街を滅ぼした魔物が近くに棲み付いていないか確かめて下さるとおっしゃるのか?」 村長がいった。初老ながら押し出しのいい、けれど温厚そうな人物だった。「我らは北の王国からこの地へ渡った魔物の群れを追っ