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日記一覧

第二の野営:川のほとりにて その十四「俺が自分の考えを話したとき、決してガラリアンやラルダには悟られぬようにとアザリアに釘を刺された。ローラムやダンカンも同じ結論に達していることも知らされた。それからアザリアが知りえたガラリアンの身の上につ

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第二の野営:川のほとりにて その十三「それではアザリア様は、僧侶の信仰が裏切られたときのことを案じておられたというのですか!」 アラードの脳裏には己が目にしたラルダの姿が、神を呪わずにいられぬまでに無惨に堕ちたあの姿が甦っていた。そんな赤毛

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第二の野営:川のほとりにて その十二「そういうわけだったのか……」 唸るボルドフにアザリアは頷いた。「禁忌を織り込まない術式だからこそアルデガンの外へは容易に出せない。ならばガラリアン自身がそれを望む以上、彼の強大な魔力を課せられた使命に役

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第二の野営:川のほとりにて その十一「留め置く? なぜ? なぜなのですかお父様!」 信じられぬ思いでラルダは叫んだ。窓の外を向くアルデガンの長たる父の背に。「あの男はラーダの教えを守らず、術式に織り込まれた禁忌すら邪魔だといって勝手に術を編

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第二の野営:川のほとりにて その十「……ではこのアルデガンにおいてさえ、魔術師の術の発動には人格の陶冶など無関係なのか?」 問わずにいられぬボルドフに頷くでもなく、アザリアは見つめ返してきた。灰色の瞳を一瞬よぎった表情が、彼にはなぜか迷いめ

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マイミクのAstray様の手になるファンタジー小説『かがり火の旅路』第3話がアップされました。『かがり火の旅路』#03http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=3595226&id=81326006カレル少年を襲った夜盗たちがエグナサの傭兵と名乗れば、少年を救った魔術師は

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 長らく買い逃していたCDが昨年久々に再発売されていたので購入しました。ジョン・エリオット・ガーディナー/オルケストル・レヴォリュショネール・エ・ロマンティークが今は亡きフィリップスレーベルに入れた3枚のベルリオーズで『幻想交響曲』『イタリ

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マイミクのAstray様の手になるファンタジー小説『かがり火の旅路』第2話がアップされました。『かがり火の旅路』#02http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=3595226&id=81260691カレル少年の目の前で両親が死ぬ最悪の事態こそ免れましたが、村を蹂躙する夜盗

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第二の野営:川のほとりにて その九「つまり隊長は、信仰への道に誘われたということですか?」 思わず訊き返すアラードに、剛剣の師は重々しく頷いた。「おまえも知ってのとおり、ラーダの教えは大司教を頂点に頂くアルデガンの根底をなすものだ。どのみち

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キリ番を踏まれたマイミクさんに文章かイラストのリクエスト権を進呈するようになってかなりたちますが、リクエストを出す期限を設けない代わりにそれに応える締め切りもなしという軟弱なルールなので、皆さんがお忘れになられた頃にようやく……というパター

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第二の野営:川のほとりにて その八「……そうして俺は脱走したんだ。ついにアンディを連れ出せぬまま」 日が落ちた酒場はすでに賑わい始めていたが、ボルドフが話し終えたとき、五人のテーブルは沈黙に閉ざされた。数瞬ののち、ため息混じりにローラムがい

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第二の野営:川のほとりにて その七「なん……だって」 驚愕のあまり言葉も見つからぬボルドフに、炎の魔術師はいいつのった。「あんたロブコヴィッツ候とやらの部隊だったろう? そいつが攻めた相手がこともあろうにアルデガンの結界を補助する西の塔に逃

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第二の野営:川のほとりにて その六 ボルドフは目を見張った。鎧を身につけたダンカンと異なり、集まってきた面々の身なりが村や軍では見かけたこともないものだったから。 強いていえば上背のある若者の身なりは、見たことはなくとも話には聞いたことがあ

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 第2部 洞窟の戦い  第4章 執務室 アルデガンに戻ったゴルツは指導者たちを招集し、アルデガンを襲った吸血鬼が滅んだこと、だが転化を遂げてしまったリアが洞窟の奥へと姿を消したことを報告した。アラードも集会に同席していたが、特に発言を求めら

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 第2部 洞窟の戦い  第3章 火口 その4 応えはなかった。ラルダは意識を伸ばしてリアの意識を探り捉えた。リアはずっと洞窟の奥の通路にいた。彼女が泣いているとラルダは感じた。堕ちた我が身を嘆いているのだと思った。「今すぐここへ! あいつを

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