mixiユーザー(id:7656020)

日記一覧

<この文章は2001年5月から7月にかけて同人誌に投稿した原稿からオーマンディについて書いた部分を抜き出して再録したものです。CDの発売時期については7年前の文章であることをお含みいただいた上でごらんください>−−−−−−−−−−−−−−−

続きを読む

あるべき姿の崩壊の響き
2008年06月29日12:42

 多くの場合、表現における悲劇的なるものとはそれを意図して作ったからこそそこにあるものであり、我々もその前提に立った上でそれを享受するのですが、ごくまれに、それを意図したのかどうかわからないものの中に血がにじむように顕れてくる場合があります

続きを読む

メデューサ第40章
2008年06月26日20:37

「鉄鎖のメデューサ」第40章(MF〜MF)「そうか、ロビンには気づかれていたのか……」 焚き火を囲んでの歓待が一区切りしたところで座を離れ赴いた建物の陰で、ラルダが応えた。その沈痛な声に、ロビンは言葉を続けられなくなった。 少年にとって果て

続きを読む

メデューサ第39章
2008年06月22日12:45

「鉄鎖のメデューサ」第39章(MF〜MF)2021年改稿版 草原を渡る夕方の風に乗って、笛の音が音階をなめらかに舞い降りた。 無蓋の馬車に積んだ荷物の上に腰掛けた細身の少女が吹く笛の音は、風が遠ざかると旋回を緩めた。風とともに舞うようなその

続きを読む

メデューサ第38章
2008年06月19日00:29

「鉄鎖のメデューサ」第38章(MF〜MF)2021年改稿版 一行は樹海を西に迂回しながら先を急いだ。まっすぐ南下すれば人魚を崇めたルードの村だったが、ハイカブトの自生地は大陸の西南端だったから旅路はまだ半ばにも達していなかった。花を入手した

続きを読む

メデューサ第37章
2008年06月16日00:20

「鉄鎖のメデューサ」第37章(MF〜MF)2021年改稿版 次の日から、ロビンはラルダに薬草の種類や薬の作り方について学び始めた。スノーフィールドから南下する旅であったので、最初はロビンも名前なら知っている植物が大半を占めていたが、それでも

続きを読む

メデューサ第36章
2008年06月13日00:43

「鉄鎖のメデューサ」第36章(MF〜MF)2021年改稿版「薬のことを教えてほしいって?」 焚き火に枝をくべる手を止めて訊き返したラルダに、ロビンは頷いた。「きのう姉ちゃんのことを思い出して、昼間ずっと考えていたんだ。薬が買えずに目の前で姉

続きを読む

4つのブラームス
2008年06月10日07:37

 ブラームスの作品の中でたぶん最も好きな曲である「交響曲第2番」に、今年に入って注目すべきディスクが2枚出ました。読売日本SOの常任指揮者に80歳を越えた高齢で就任したスクロヴァチェフスキーの就任演奏会のライブに、金聖響がオーケストラ・アン

続きを読む

メデューサ第35章
2008年06月08日03:16

「鉄鎖のメデューサ」第35章(MF〜MF)2021年改稿版「なあ、名前はなんていうんだ。もしや……」 思いつめた顔で問いかける若者を見上げて、少年はおずおずと答えた。「……ロビン」 すると相手は俯いた。ひどく意気消沈した、張りつめたものが切

続きを読む

メデューサ第34章
2008年06月07日01:43

「鉄鎖のメデューサ」第34章(MF〜MF)2021年改稿版「伝えたか?」 役目を終えて戻ってきた使者に問いかけたのは、五十ばかりの痩身の男だった。頬の肉が薄く鋭い印象の顔。切れ長の目に覗く影を宿した碧い瞳。容貌からすれば権謀術策を弄する間者

続きを読む

メデューサ第33章
2008年06月02日00:07

「鉄鎖のメデューサ」第33章(MF〜MF)2021年改稿版 敵味方の誰もがラルダの思いがけぬ言葉にあっけにとられた。だが、逸早く立ち直ったグレイヒースが虚を突かれた手下たちを怒鳴りつけた。「ハッタリだ、聞くな! しっかりしろっ」 その声に敵

続きを読む