急に思い立って書いた外伝5のせいで、本来5になるはずだった外伝6の予定が大きく変わりました。東の国の辺境で起こる陰惨な出来事ということで舞台は黒い沼地のイメージだったのですが、底なし沼に囲まれたあばらやという孤立を象徴する形で使ってしまった
外伝5最終章。風邪をひいたおかげで愛用のカシオペアとザウルスを寝床に持ち込んでの執筆・アップとあいなりました。どんな形であれ、まとまった時間が取れることの威力を感じました。そんなことで、暇にあかせて書きあがったものをつらつら読み返してみると
第15章 二つの闇 よろめきながら立ち上がったバドルの耳に、ラダンの放心したような声が聞こえた。「……逃げた、のか?」 振り向いた少年の目が、立ち上がったものの信じられぬ思いを隠せぬラダンの顔を、同じような表情を浮かべ立ち上がってくる男たち
mixi上で知り合った方のご縁で、ネット上にクラシックCDに関する遺稿を大量に残されたまま1年前に45歳で亡くなられた著者のことを知ってまだ半年(下記のアドレスがそのHPです)http://homepage1.nifty.com/yurambo/全体として淡々とした中に人柄
ある方が千住真理子と天満敦子のCDのご感想の中で、ストラディバリの音色の再現性について触れておられましたが、これはなかなか悩ましい問題です。LPやCDで楽器固有の音色まで聴き取ることはどこまで可能か。いろいろと困難があるような気がします。
第14章 黒い小川 バドルの正面に立っていたのは、古えの言い伝えどおりの姿をした妖女だった。 おりしも登り始めた月の光に正面から照らされて、宵闇に冴え冴えと輝く大きくうねる金色の髪。赤い宝玉を正面にはめ込んだ簡素な白銀の冠。抜けるように白い
第13章 落ちた橋 乙女は足早に森を出ると、うっすらと赤みを残す昏き空の下、封じられていた知覚の網をいっぱいに広げた。荒野の彼方のあの丘を、それは難なく捉えた。 けれど、そこに人の気配はなかった。 それでも乙女は彼がそこへ来ることを疑わなか