妻がぼくの膝裏をくんくん嗅いだあと、激しくえずいた。しばらく妻は壁に手をついてむせこみ、ぼくを哀れむように見ていた。すこし落ち着いてくると、妻は涙をふきながら、臭すぎるわと言った。でも気を落とさないでね、もしかするとこれは生物学的に家族に
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誰かがリモコンでぼくの舌を動かしている。その人はとても意地が悪く、たとえばぼくがレストランで料理を注文するときなどに、早送りのボタンを押してきたりする。そうするとぼくの舌はぶるるんともつれてしまい、もはや何を注文したいのかが正確に伝わってい
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