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日記一覧

台所へ戻って行くと父が 『誰からじゃった』 と聞いて来た。 どう答えていいものか判然とせず、俺が言いよどんでいると、すかさずハルキが 『ナッちゃん、言うてなかった? なんかそんな声が聞こえたんだけど、、 ナッちゃんって、ここの二階(診療所の事)で

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丁度その時は母がハルキに『運動靴じゃったら子供じゃってはいとる可能性があるわけじゃねぇ』と言い、父が『子供だけじゃのうても高校生や大学生じゃってはいとるぞ』と言っている時だったので、『電話じゃ』という俺の声は黙殺された。母が『アンタがでなせ

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『見当がつかんて。やって来るモンが、オトコやら女やらもわからんのんか』ハルキの言葉を受けて父がそう言うと、ハルキは『そうなんですよ。』と身を乗り出し、『他のお人の事はこれだけつつみ隠さずオープンにやっとってですよそのモンの姿だけはダレにも見

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祖母は地域の人々が八木のおじさんを嫌悪しながらも、心のどこかでは愛していた事を語った。戦後復員してき、家も家族も失った八木のおじさんに格安の家賃で家を提供したのは誰それであったと言う事。季節季節に氷を売ったり、焼き芋を売ったりして生計の足し

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今や、俺と祖母は台所にまんまと侵入をはたし、あろう事か、ハルキを相手に,捜査会議のただ中に陣取っていた。普通だったら、父も母も、このような事を許してくれるわけはなかったのだが、さすがに祖母が相手では言いにくいとみえて、母は『アンタは聞かんで

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俺は小声で『お婆ちゃん、ナンしとん。』と言い、『邪魔じゃけん、あっちへ行っとって』と追い払う仕草をした。祖母がそばにいては、気がちってしまい、聴き取るものも聞き取れないと思ったからだった。すると祖母は『来とんじゃろ。あの巡査』と顎で扉の向こ

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ハルキは俺の頭を擦るようになでると『図鑑で勉強とは感心、感心、その調子で勉強するんだぞ。』と笑い『何、見とったん』と、覗き込んで来た。俺は慌てて『見んで!』と言ったが、すっかり見られてしまった。ハルキは『お?』と言う顔をし『ヒダスキかそがな

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俺とナツコは飛び上がらんばかりになった。いきなり背後から父が話しかけて来たからだった。俺も驚いたが、ナツコに至っては大切に持っていた湯のみを取り落としそうになった程だった。父は『そがん驚かんでもええがな』と言いつつ、ナツコの手元を『ほう、』

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