それから数日、母は俺と口をきいてくれなかった。反対に祖母はやたらと俺を庇うような物言いをした。その事がさらに母の機嫌を悪くして行った。家の中には気まずい雰囲気が充満した。しかし、ナツコは元気に何事も無かったように仕事にやって来た。父が『もう
家に帰ってみると、母と祖母だけでなく、ナツコの母親までもが六畳の部屋で待っていた。『ご心配かけました』と言って入って来たナツコに、母親は逆上するかと思いきや、意外と冷静に『皆さんにご心配かけてもっと心からお断りしなせ』とだけ言った。最前見た
俺の姿を見たナツコ達はいっせいに『あ!ヨシヒロちゃん』と言った。ノグチの母親だけが『この子は!』と言い、俺に向かって来ようとした。しかし、それは、すぐさま、ハルキによって止められた。俺は意気地なく、思わず父に後ろに隠れ込んだ。父は、そんな俺
おんな同士のケンカがあまりにも凄まじかったので、マナブは、なす術を失ったようになってしまった。俺も、入り口の影で、出番を失ったようにおろおろしていた。ノグチの母は狂ったように『面会の時、ウチの息子は言うとった!八木のおっさんの家にだけは火を
坂を転がるように降りて来たのは女の人だった。暗くてよくわからなかった俺はてっきりその人の事をシノハラ先生の奥さんと勘違いして『あっ』というさけび声を出したのだった。姿形がシノハラ先生の奥さんに酷似していたからだ。しかし、薄明かりの中でみると
『アリバイ工作』という言葉を聞いた瞬間、俺の足は動かなくなってしまった。奥さんがシノハラ先生のアリバイ工作をして上げていたなどとは。今まで考えた事もなかった俺だったからだ。俺が『その可能性もあるなぁ、、』と思っていると『でもな、、』と、マナ
炎天下 前だけをひたすら見つめ あの人の背中を追えば 八坂から四条へ 肩を小突かれる、、、 鴇色の帯留めが どことなく気がかりで 問いつめる事もできず
言えないけれど 不思議な気持ちがしている僕なのさ あなたとこうして二人でいるなんて いろいろ哀しいことさえあったけど 乗り越えられた二人の 二人の恋だから 忘れろなんて 言えないけれど 忘れろなんて 言
巴里のさざ波 来てはいけないと 言った人だから よけいに後を追いかけたくて 訪れた真冬の巴里 、、 さざ波も凍った 哀しげなセーヌは 口をとざし うつむいてる あなたに
若過ぎる虹 彼が見てる そわそわ目の端で 彼がそらす 睫毛をふせながら 彼が見てる もう一度、目の端で 気づかない ふりをする、、 プールサイド 不意のにわか雨 白いしぶきはねあげ まるでその若さを誇るよに、、、 彼
沖縄心中 肩先に中途半端 消えかけのタトゥがある Mの頭文字の人は どこでどうしているだろう お前をに抱くそのたび に それが気になる俺だよ きっとその人も今頃 この世にいない気がする、、 ああ こんな暑い