ヤマナカ君から挨拶された父は『おう、どしたんなら、この寒いのに』と言い、近づいて行った。ヤマナカ君は自転車を道路の脇に止め、『先生らぁこそ、どしたんです、こんな時間に』と聞いて来た。ナツコも父と問答しているヤマナカ君に気がついたのか『あ、ヤ

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表に出てみると冬の北風がビュービューと音をたててなっており、ゴミ箱のフタのようなモノがゴロゴロと道路を転がっていた。最前までの熱気は、激しい北風によって一気に拉っしさられてしまった。俺は『おお、寒』と言うとシノハラさんが手渡してくれた真っ赤

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それまではカマの方をむいていたシノハラさんだったが、にわかに女の人の方に向きをかえると『お前は黙っとれ！』と声高に言い『そもそもここはオナゴの来るとこと違う！あっちへ行っとれ！』と言った。『オナゴの来るとこじゃぁねぇ言うて、そがな可愛いお嬢

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シノハラさんは男子である俺かマナブかシゲイチに向かって言ったつもりのようだった。しかし、炎の熱気にあてられたのか、その頃になると、俺の気分は本格的に悪くなってきており、窯場のスミで気息奄々になっていた。薪どころのはなしではなかった。敏捷なシ

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