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日記一覧

翌朝、俺は、ダメと言われる事を覚悟の上で、母に『今日は学校休んでワィもクスさんの葬式に行く!』と申し出てみた。案の定、母は『バカな事、言われなアンタが学校を休んでまで行かんとおえんとこじゃぁねぇ』と答えた。そこへ、寝起きの父が、寝間着姿のま

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数珠がかえって来た祖母はおおいに喜んだが、その夜から、挫いた足が腫れ始め、呻吟する事となった。心配した母は『今からでもタジマに行ってお薬、もろうて来ましょうか?』と言ったが、『実さんに迷惑をかけたらおえんタカヒロにいうて歯痛の薬をだしておく

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母は、チラっと、俺の手元を見たが、カツラには気がつかないようだった。そんな事よりも、母は俺の遅れを咎めるように顔をしかめると、『遅かったがな、、何しょうったんでぃ?』と言い『あったんか?お婆ちゃんのお大事?』と聞いて来た。『お大事』と言うの

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家に戻ってみると、六畳の部屋では、父と実伯父がにらみ合っており、母と、祖母の姿はなかった。父は俺の方をみると『何しょうったんなぁ!随分、手間取っとったけんど』と言い、『へぇで、あったんか』と聞いて来た。俺は、一瞬、何を聞かれているのか、わか

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なんでこんなところに、まとまった頭髪が落ちているのだろう、、俺は背筋に冷たいものを感じた。頭髪というモノは頭にある時はそうでもないが、いったん、抜け落ちた後は異様に見えるものだからだ。俺は、『おぞはいぃなぁ、(気色悪いなぁ)、』といいながら

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父に命じられた俺は、借りた懐中電灯の灯りだけを頼りに、事務所から奥へ進んで行き、二階へあがって行く事にした。闇がさせるのか、カビ臭さが濃厚に感じられた。床面や、板の間や、壁に投げかける灯りの不規則な明暗は、いたずらにオウトツを際立たせ、見て

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『取りに戻る』慌てて、祖母は、そう言った。すると、父は『アホな事言うな!』と声を荒げ、『その足でどうすりゃ!一人で歩けもせんくせに!』と諌めた。しかし、祖母は『へじゃけどあれは、、、お大師っさんでもろうてきたオダイジ(大事なモノの事)じゃけ

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母の剣幕に実伯父はすこしたじろいだようだったが、すぐに、いつもの、調子のよさを取り戻し『ははは、』と笑うと、『ノブエさんは大げさじゃの。たいした事ねえ言うとんのに、、、そがん心配なぁいつでも薬なと湿布なととりに来なせぃウチも商売じゃ、売らせ

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