出来立ての風の匂いや栗御飯　　　　　　　藤木洋良

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鳥たちの羽を濡らすな秋の雨　　　　　　　藤木洋良

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生死とは風もないのに銀杏散る　　　　　　藤木洋良

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歯科医師の目にそっくりな鵙が鳴く　　　　　　　藤木洋良

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渋柿や寂しさを詠むなんて無理　　　　　　　藤木洋良

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白鳥の声で目覚めし鳥屋野潟　　　　　　　藤木洋良

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初鴨や次郎の家も灯が点り　　　　　　藤木洋良

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新米の一粒ごとの美味さかな　　　　　　藤木洋良

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七十六歳人生まさに黄葉期　　　　　　藤木洋良

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待ち人は来たらず今日の落葉かな　　　　　　藤木洋良

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秋雨に風の便りも濡れにけり　　　　　　　　藤木洋良

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夕陽浴びコスモス揺れる田舎道　　　　　　　　藤木洋良

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栗飯や財が無いのがいと楽し　　　　　　藤木洋良

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路地裏の主は留守か柿赤い　　　　　　　藤木洋良

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仏前に供えし葡萄仏食ふ　　　　　　　藤木洋良

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柿食った昨日は忘れ今日を生き　　　　　　　藤木洋良

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銀杏の天ぷら美味し酒美味し　　　　　　藤木洋良

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孫あやす母思い出す虫の秋　　　　　　　藤木洋良

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芋虫や必死に歩め汝が道を　　　　　　　藤木洋良

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無花果や亡き母恋しおちょぼ口　　　　　　　藤木洋良

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木犀の香や結婚五十年　　　　　　　藤木洋良

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秋なんだ酒を飲むから寂しんだ　　　　　　　藤木洋良

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鵙鳴くや乳母車押す女ありき　　　　　　藤木洋良

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無花果の機嫌良き日に我食す　　　　　　藤木洋良

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命日や追いつ追われつ秋の蝶　　　　　　　藤木洋良

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老いるとは生き死に急ぐ秋の暮　　　　　　　藤木洋良

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老いるとは眼鏡の似合う秋の風　　　　　　　　藤木洋良

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老いるとはあなたになびく芒かな　　　　　　　　藤木洋良

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老いるとは光りになびく秋桜　　　　　　　藤木洋良

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