別に引退していたわけではないソダーバーグの新・泥棒映画。 ブルーカラー版『オーシャンズ11』と云うひとも。安心して観られる。 面白いしちょっと感動もさせられる。 現金奪取の現場であるビッグなカーレース会場で高らかに歌われる「アメリカ・
「南瓜」と書いて関西人の私はどうしても「なんきん」と読んでしまう。「カボチャ」とは読めない。 一方的に相手が好きという自分の感情に従って生きてきたヒロイン(臼田あさ美)。実は才能はあるのに性格的な問題でバンド仲間と上手くいかず引き籠もり状態
原題『Their Finest』の由来となっている原作小説の題名『Their Finest Hour And A Half』(我々はたまには最上級の1時間半の楽しい時間を提供したいものだ(文意))は映画中でも台詞として語られているが、チャーチル首相の有名なFinest Hour演説に由来し
詩に向いている言語、向いてない言語というのがあるような気がしている。意味ではなく「響き」の問題。当然漢詩は中国語だし、和歌は日本語なのだが、ここでは現代の口語が前提。そうすると、フランス語やイタリア語というイメージなのだが、深淵なる情愛を
実話ネタ(韓国最大の投資詐欺事件)だというし設定だけ聞くとダークな内容に仕立てそうだなと思ったけど、さにあらず、勧善懲悪世直しコンゲーム・エンターテイメントに仕上がっている。 甘いマスク(だってイ・ビョンホンだもん)と弁舌で一般市民から莫
原題よりも邦題の方がいいケース。 どこまでホントか知らないが、聞くところによると低予算の『ゴジラ』映画を勝手に作ってしまおうとして(爆)事前に東宝サイドにバレて訴えられ、和解した結果怪獣のデザインやら怪獣が出現する舞台やらが変更になったそう
湯布院映画祭で今作を観た友人たち(私より年上)が挙って批判していたし、『ハローグッバイ』のトークショーで菊地健雄と染谷将太がこの作品について「実年齢の高校生ではない、20代の俳優でないと演じられない高校生の話」(要約)と語っていたので、そう
今作のオリジナル脚本(2010年の城戸賞最終ノミネート作)を書いた山崎佐保子は1984年生まれ。日本映画学校(当時)の卒業生で、つまり荒井晴彦や天願大介の教え子ということになる。下世話な言い方をすると、荒井さんの秘蔵っ子のひとり(^_^;)。元々は監督
夜行獣は毎夜悶える。 アナタは親譲りの財産と充実した創造的な仕事を持ち、有能でハンサムな夫がいる傍目にも幸せな(筈の)女盛り。昔捨てた甲斐性なしの元夫から自分が書いたという小説が送られて(贈られて)来たら、元妻であるアナタは読みますか?
監督の白石和彌の名は脚本執筆者としてはクレジットされていないが、浅野妙子によると、シナリオに白石の手がかなり入っている。若松孝二の弟子筋の白石とテレビ畑の浅野との組み合わせと聞いて、観る前は違和感が拭えなかったが、なるほどこれが「ちょうど
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を丸々本歌取りしたファンタジーの形を借りつつ、「アイドル映画」であり、「アイドル」の映画であり、アイドル論映画であり、元祖アニメアイドル?の誕生にまで関与した金子修介が育てて見つめてきたバブル期以降の日本
私がSF小説にハマったのは高校生から大学時代に掛けてのころ。P・K・ディックという毛色の変わった、当時まだ一般にはあまり知られていない作家の小説を初めて読んだのもその頃のこと。彼は自分が20世紀終盤を代表するSF作家として歴史に名を残すこと
観終わってから人伝てにこれがルビッチの映画のリメイク(正確には同じ原作の再映画化)であることを知る。原作を書いたのは、『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いたロスタンの息子。原作もルビッチの映画『私が殺した男』も今から80年以上も前の作品。そ
ベルリンの壁崩壊前夜。柳生武芸帳ならぬ各国スパイの完璧なデータを巡って、諜報機関による東西ベルリンでの争奪戦は熾烈を極める。裏切りにつぐ裏切り…。 英国女スパイが主人公のイギリス映画かと思いきや、アメリカ映画だし(ネタバレ)も(ネタバレ)
構成に難があるし登場人物の使い方が下手くそだが、 そういう指摘は難癖をつけているに過ぎない。 観客はただ画面から流れ出る濁流の勢いに身を任せ、ひたすら感じ入るべきである。 そうして主人公と同様に観客も彼が流れ着いた最後の場所に愕然とする。
副題に偽りあり。(『American Made』という原題は皮肉が利いていていいのに) これは「アメリカをはめた」ような用意周到な詐欺師、陰謀家ではなく、ただパイロットとして優秀で冒険心があったが故にCIAや麻薬カルテルに利用され、場当たり的に立ち回
アメリカの政治史のなかでロビイストなるものが台頭してきたのはいつからなのだろうか。選挙コンサルタントのようなものは各国とも選挙制度を導入した段階から出現していたのだけれど、政治家と経済界・団体を繋いで有利な決議だけが成立するように暗躍する
禍福は糾える縄の如しというが、何が不幸で何が幸福なのか分からないのが人間、人生というもの、らしい。男女の関係、家族… 例えば、私はよく思うのだが、松田優作が共演者の熊谷美由紀と浮気をし、糟糠の妻であった松田美智子と離婚した。前妻・美智子か
『ジャングル大帝』はジャングルを仕切るライオン・レオの一代記である(レオの父・パンジャ、レオ、レオの息子・ルネと王座が継承されていく「ライオン三代」でもある)。レオは人間に拾われ都会で暮らす中で人間の言葉を話せるようになっていく。 似てま
実写版の本編というか続編『新感染エクスプレス』の文字通り「前日」談のアニメ。更に救いのない話が展開される。ゾンビよりも国家権力に追い詰められていく人々。自分勝手で足の引っ張り合いしかしない愚かで最低の者たち。ゾンビなんていなくても既に崩壊
軽々しく語れないのである。それは何も二部作の前編だからということではない。寺山修司に関して無知に近い。原作は原作映画は映画だがどうやら別個のものだと割り切って語ってはいけない気がする。私がということではない。他の誰であってもである。だから
女が内面からほとばしる情愛と感受性に身を任せて生きるには、50年代のフランスの片田舎は余りにも窮屈だった。奔放な娘の扱いに困った母親はスペインから流れてきた反フランコ兵士だった男を見込んで娘を嫁に行かせた。「あんたなんかとは寝ない」「俺は構