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日記一覧

 愛や熱情というものをストレートに描くのも、それ以上にそれを見せられるのも身の置き所がなく実に恥ずかしいものだ。自分が余命いくばくもないと知ったシングルマザー(夫は失踪中)が決意し、夫を探し出して誰の子か分からない小さい娘と一緒に連れ戻し家

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『手紙は憶えている』
2016年10月31日08:13

 海外映画の、それも娯楽大作ではない場合、歴史的社会的な予備知識や事前情報はある程度必要であることが殆どなのだが(予習復習しないと損するぞ)、この作品に関しては何も知らないで観た方がいい。(もちろん、アウシュビッツやらナチスやらユダヤ教やら

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 新生スタトレシリーズ、これまではオリジナルシリーズの前日談(但し、時間軸がズレてパラレルワールドに)という色彩が濃かったのだが、元祖スポックことレナード・ニモイの逝去が契機になったのか、今作はニモイの死を老スポックの死という形で取り込むこ

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『われらが背きし者』
2016年10月31日08:12

 ル・カレ原作兼製作による国際謀略ものだが、本職スパイが主人公ではなく、さりとて巻き込まれて右往左往でもなく、お人よしでいかにも脇の甘そうなイギリスの文学教授+弁護士夫妻が、夫婦生活やり直しツアーで訪れたモロッコでロシアン・マフィア一家(英

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『奇蹟がくれた数式』
2016年10月26日00:52

 人並み外れてほんとに記憶力がないというか記憶の引き出しの奥の方に仕舞い込んだものがなかなか出てこない人間ゆえ、事後に色々思い出すことが多い。例えばこの作品でバートランド・ラッセルが登場してきて、とっても大事な懐かしい人な感じがするのに、ど

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『バースデーカード』
2016年10月26日00:45

 肉親を喪い悲しむ時間よりも、家族に残された人生は遥かに長い。ずっと泣いていられるわけではない。小学生だったヒロインやその弟、そして彼女らの父が、母(妻)と死に別れて十数年、どう生きていったか。美しい諏訪湖畔と瀬戸内を舞台に、彼らの名もなき

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 ハンク・ウィリアムズ(ウィリアムス)という名前に親しみはない。良くも悪くも「古き良き(保守的な)アメリカ」の象徴的な人物として、いくつもの作品にその名は登場していたように思う。それに反逆するように登場したのがプレスリーというわけである。し

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 いわゆる趣味の会に参加していると、共通の趣味以外のこと、それぞれのプライベート、どんな仕事をしていてどんな人生を送ってきたかなんて、お互い分からないままだったりする。訊くのは野暮な感じがするし、そもそも人見知りな私はよほど打ち解けないと訊

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『何者』
2016年10月26日00:39

 本来、映画の感想とは他人は他人、自分は自分なわけだけど、これは、自分が自分を見つめ、自分が他者を見つめ、そういう他者がどう自分を見つめているのかという自意識をひたすら描いていく作品ゆえ(哀しいかな「美意識」というレベルには全く至っていない

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『永い言い訳』
2016年10月17日01:18

 そうか、師匠である是枝が「子ども映画」の大家だから、西川美和としては忌避してきたのか、と今気付いた(無意識かどうかは分からないが)。その縛りを今回外したことで、西川は登場人物たちを妙に突き放してきた「皮相」感からようやく脱し、素直な人間再

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『お父さんと伊藤さん』
2016年10月17日00:55

 酷いのを観せられた後に、こういう作品は救いだな(微笑)。年の差フリーターカップルが暮らす部屋に、彼女の方の父親が転がり込んでくる。要は同居している嫁(ヒロインの兄の妻)との折り合いが悪いらしい。30代の娘と50代の男、そして70歳の老人という同

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『少女』
2016年10月17日00:32

 久々に「観るんじゃなかった。コヤ(映画館)から出て行こうかな」という気持ちにさせられた(苦笑ではなく苦情)。 湊かなえのは、皮相的に、或いはスタイリッシュwにでも描かれないと、耐えられない。彼女は、人間の内面の醜さを深く見定めたりは絶望的

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『ある戦争』
2016年10月17日00:19

 デンマーク軍が実際に平和維持活動としてアフガニスタンに派兵されているかは確認していないが、おそらく映画の通りなのであろう。戦争をしに行っているわけではない。祖国に家族を残し、過激派の攻撃や地雷に怯えながら、誰が敵で誰が味方なのか判然としな

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『人間の値打ち』
2016年10月16日23:59

 逸失利益という保険金を計算する際の考え方がある。事故で後遺症が残る、或いは死んでしまった人間が事故に遭わず人生を永らえた場合、いくら稼げるはずだったか。その計算根拠となるのが(古典的な経済学の言い回しを使うと)"human captal"、「人的資本」

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『淵に立つ』
2016年10月11日01:05

 突然の招かれざる「客」の侵入によって家族という仮想(仮装)集団が崩壊していく…。深田晃司が『歓待』でやる前にもパゾリーニの『テオレマ』とか。『家族ゲーム』などもその種のテーマであろう。今作はそこから一歩進んで(進んでいると言って良いのかど

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 難病物×ラブストーリーというのは古典的ネタでありますが、昨今はラブの代わりに「格差社会乗り越えバディ(友情)」というのやら、尊厳死を絡めるのやらと、社会や世情の変貌を反映してバリエーションが増えておりますけど、これはそれを全部ぶち込んだ(

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 予告編とか観ていると、てっきり俳優業に行き詰ったイーサン・ホークが高名なピアノ教師であるシーモア・バーンスタインにピアノを習う話かと思うわいな(笑)。ふとしたきっかけでシーモア先生と知り合いになったイーサンがシーモアの人間的な魅力に惹かれて

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『SCOOP!』
2016年10月11日00:00

 1981年にフォーカス(新潮社)が創刊され写真週刊誌ブームに火をつけた。それを追って1984年講談社がフライデーを創刊。80年代なかばからの約10年間が写真週刊誌の、というより雑誌ジャーナリズムの最後の華の時代であった。帰国したばかりの原田眞人が、こ

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