読書日記「お前らの墓につばを吐いてやる」ボリス・ヴィアン 作ボリス・ヴィアンが偽名で発表したピカレスク・ロマン。実は黒人の血が混じる主人公は、人種差別によって殺された弟の復習のため白人への報復を企む。この主人公の義憤や屈折をもっと丁寧に書い
読書日記「太陽肛門」G・バタイユ 作若きバタイユの論考のような散文詩のような小品。訳者による実に分かりやすい注釈と解説付きだが、一度注釈抜きで一通り読み、そのあと解説に触れ、さらに読み直すとさらに楽しい作品。太陽を中心に世界のあらゆるものを
読書日記「カンガルー・ノート」安部公房 作安部公房最後の長編。主人公は脛にびっしりとカイワレ大根が生える奇病にみまわれ、医者に指示されるまま硫黄泉での治療をめざして自走ベッドで運ばれてゆく。まるで意思を持ったかのような頑丈なベッドは、謎の地
読書日記「リア王」シェイクスピア 作老王リアと3人の娘たちの話ではあるのだが、同時にある家臣の妾腹の子が親兄弟を裏切って成り上がろうとする話が進行する。このサブストーリーがなぜ必要なのか?自分も最初は疑問に思ったが、話が進行するうちに本筋と
読書日記「第三の嘘」アゴタ・クリストフ 作「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く三部作の最終話。主人公の双子は50歳を越えて、子供時代を過ごした懐かしの街で再会を目指す。とは言ってもこの三部作に一直線につながったストーリーがあるわけではなく、彼ら
読書日記「ふたりの証拠」アゴタ・クリストフ 作代表作「悪童日記」の続編。主人公の双子のうち、一人は国境を越えて行き、残ったもう一人の青春期を描く。直接政治的なテーマを追うものではないが、ハンガリー動乱の結果多くの市民が犠牲となったことやソビ