読書日記「シベリヤの旅」チェーホフ 作サハリンへ旅を続けるチェーホフが途中経験したシベリヤ横断の記録。ただし旅程前半。もちろんシベリヤ鉄道敷設以前の馬車の旅で、全編ただただ悪路悪路の連続である。ちょっとやそっとの悪天候ならものともしない行軍
読書日記「大和路・信濃路」堀辰雄 作以前「風立ちぬ」を読んで、そのあまりの美しさに世界文学だ!と思ったもので、このエッセイ集にも期待したが、やはり小説作品のような磨き抜かれた文体ではなく、普通の文章だった。普通というのもなんだが、作者の実体
読書日記「ことばの食卓」武田百合子 作1981から83年にかけて書かれたエッセイ。食べ物の思い出について書かれたものが中心だが、それ以外にいつもどおりサーカスやお花見などあちこち出かけた見聞記も楽しい。まずいオムレツ専門店の話が愉快。自分などは高
読書日記「ジゴロとジゴレット」モーム 作サマセット・モームの短編集。「月と六ペンス」の面白さから比べると、短編はやや物足りないのは、やはりうまくまとまりすぎているからであろう。愛を描き良心を描き、多彩な人生ドラマなのだが、どうしても心憎いば
読書日記「黄色い雨」フリオ・リャマサーレス 作フランス国境に近いスペイン山村。寂れ行く村に一人残り、一匹の雌犬と亡くなった妻や母親の亡霊とともに暮らす男の物語。心を病んで自死した妻を埋葬したあと、雌犬を連れて村や山を歩き回る。家々は残ってい
読書日記「やし酒飲み」エイモス・チュツオーラ 作以前に挑戦してすぐお手上げ状態だった本作。文庫本を入手して再挑戦した。全編現実離れしたおとぎ話のような、神話のような民話のような内容で、主人公とその妻が「死者の国」を目指して深い森の中を進み、
読書日記「わが子キリスト」武田泰淳 作ユダヤを支配するローマ軍隊長の語りという体裁で書かれた小説。隊長がマリアに生ませた子供はイエスとなって神の子を名乗る。ローマ政府最高顧問官は隊長にイエスを利用してユダヤ人の精神的支配を命令。あえて裏切り
読書日記「とてもいい!」マヤコフスキー 作長詩。全体としてとても元気がいい印象。マヤコフスキーは34歳。著者もまだ若いが国(ソビエト連邦)も若いよ。土曜社のマヤコフスキー叢書の一冊には巻頭に児童文学作家カッシリによる「ある日のマヤコフスキー」